やっぱり気になる待遇面。転職で後悔しない、薬剤師の年収事情 – 薬プレッソ

やっぱり気になる待遇面。転職で後悔しない、薬剤師の年収事情

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1. 薬剤師の年収について

「薬剤師の年収は高い」、というイメージを持つ人は多いようです。しかし生涯賃金で見ると意外と低いという声も聞かれます。
実際の所は勤務先の種別により大きな違いがあるようです。またパートや派遣といった正社員以外、あるいは時短や週3、4回程度とライフスタイルを優先させた多様な勤務形態も多い職種だけに、それも考慮すると全体平均からは見えてこない収入実態も見えてきます。
ここではそれらを細かく見ながら、ほとんどの薬剤師が人生において何度か経験する“転職”など年収に大きく関係するキャリアチェンジも考えながら解説していきます。

2. 年収の相場観を知る

2-1. かなり好待遇な新卒時

まずは全体的な薬剤師の年収についての相場観を把握していきましょう。
社会人1年目、新卒時の年収は一般に比べて高めのようです。
最も多い調剤薬局を基準にして考えると、大体20万円台前半から後半が給与の相場となっています。年収としては300万円台の半ばから、うまくいけば400万円に手が届くといった形になります。またドラッグストアはこれより高め、病院はやや低めといった傾向があります。しかし一般的な新卒の平均年収は大卒で200万円台と言われますから、概ね薬剤師の初任給は高めと考えて良いでしょう。

2-2. 働き盛りはどれぐらい?

ではバリバリの働き盛りとなる20代後半から40代まではどれぐらいの年収が見込めるのでしょうか。
年齢として少し範囲が広めになりますが、一つの到達点として600万円が目安になります。勤続年数やそれまでの経験にもよりますが目安として20代後半では400万円、30代の早いうちに500万円を超える年収を狙っていくのが良いでしょう。薬剤師の多くが20代後半に最初の転職を考え、実際に行動しています。少し間を置いても30代前半で職場を動く人は多くなります。実はこの時期に多くの薬剤師に年収の差が生まれます。同じ職場でのキャリアを積み重ねるのに加え、転職時の選択も大いに関係がありそうです。

2-3. 好待遇の700万円以上

さて働き盛りの到達点は600万円と書きましたが、それよりさらに上のレベルを目指す薬剤師もいます。700万円以上は理想の年収と言えるでしょう。しかしこれは決して不可能ではなく、かなり現実的な目標設定となります。
例えば調剤薬局の管理薬剤師、あるいはドラッグストアの店長であればこの年収は十分射程内です。また製薬会社は初任給こそ低いもののその後の昇給が見込めるため、700万円を超える場合も多く見られます。さらに薬剤師の需給バランスが取れていない地方での勤務は、高年収になりやすい傾向もあります。

2-4. 年収1000万以上の目指し方

薬剤師に限らずですが、「年収1000万円」というのは多くの人が憧れるものです。薬剤師にもこれを実現できるキャリアプランが存在します。一つはMR職です。現実的にはこれが一番、年収1000万を実現可能にするキャリアと言えます(とはいえ、難関なのは間違いないですが)。
他には大学の教授、あるいは自分でそれなりの規模の会社を経営するという方法もありますが、極めて特殊な事例と言えるでしょう。勤続年数や経験にもよりますが薬剤師の現実的な高年収は700万円超えを目安にしておくと良いでしょう。

3. 生涯賃金に関するアレコレ

3-1. 薬剤師の生涯賃金、ホントのところ

前項では薬剤師の年齢とそれに応じた年収の目安を見てきました。新卒での高めの待遇もあり、やはり薬剤師の収入は良いというイメージを持たれた方も多いでしょう。
けれども生涯賃金で見ると、少し事情が変わってきます。それというのも薬剤師は昇給があまり見込めない職種だからです。最も多い勤務先である調剤薬局を筆頭に、スタート時は高くても以降の昇給はあまり見込めず、他の職種に生涯賃金では抜かれてしまう事もしばしば。「薬剤師の賃金は安い」という意見もあながち間違いではないという訳です。

3-2. 結構差がつく、勤務先の種別

薬剤師の勤務先として最も多いのが「調剤薬局」です。これが群を抜く多さで、「ドラッグストア」「病院」「製薬会社」といった所が続きます。全体の薬剤師の平均年収としては500万円を少し超えるぐらいで、ドラッグストアと製薬会社がこれを少し引き上げる存在です。
ドラッグストアは最初から好待遇で採用、といった傾向があります。数年前に新卒で年収600万円の提示といった所が話題になりましたが、これは例外としてもそれだけ最初から好条件を示されるという事例になります。一方製薬会社は初任給こそ少ないものの、後の昇給での伸びが大きくなります。トータルなキャリアプランではこのあたりの年収傾向についても考慮しておく方が良いでしょう。

3-3. これからどうなる? 賃金の未来予想

薬剤師は国の制度により大きく需要が変動する職種です。もちろんそれは年収にも大きく関わっていきます。大学が4年から6年になり生まれた空白の2年間、その時には新卒がいないために爆発的な需要が生まれそれに恩恵を受けた人も多いでしょうが、今後もそんな特需があるとは限りません。それは薬事法や調剤報酬の改定などについても同じ事が言えます。
ただしドラッグストアは依然増加中、また地方では薬剤師不足、そしてメーカーなどで新たな需要が出てきているという追い風もあります。
年収アップのためには、情報の感度を上げておく事が極めて重要になります。

3-4. 転職や働き方で失敗しない

人は収入や待遇だけを目的に働いていません。やりがいを求めるという傾向は、薬剤師の中では取り分け強いと言います。それで臨床現場により近い病院勤務に・・・などという時に頭を悩ますのが収入面です。概ね病院の年収は調剤薬局やドラッグストアに比べて安いと言われているからです。もちろん調剤薬局から別の調剤薬局へ、という転職でも気になるポイントです。人は待遇、特に収入面は落としたくないものだからです。
薬剤師の多くが人生で数度の転職を経験します。またその最初のタイミングは20代後半から30代前半。ここでやりがいと収入を両立させた転職を成功できるかどうかは、その後のキャリアにも大きく関わってきます。またライフスタイルの変化でパートや時短勤務となる場合も、なるべく適正な収入で働くようにしたいものです。

4. 調剤薬局の年収事情

4-1. 調剤薬局の年収傾向

ここからは勤務先別の年収について見ていきましょう。まずは最も多い勤務先、調剤薬局です。ここでの年収幅は350万円から600万円ほど。年齢や経験年数によりかなり広いレンジと言えます。

4-2. 年収面でのメリット

調剤薬局はその数の多さ、また調剤という最もスタンダードな薬剤師の業務を行う職場ですが、給与水準も安定したものになっています。つまり飛び抜けた良さはないものの、公務員のように安定しているという事です。
メリットとしては年収そのものではなく、時短勤務など融通が効くという柔軟なワークスタイルを実現できる環境が多いという事が挙げられるでしょう。

4-3. 年収面でのデメリット

決して低くはないはずの調剤薬局の年収ですが、感覚的には勤務時間に比べて給料が安い、といった声も聞かれます。また最近は調剤報酬のマイナス改定が続くという逆風が吹いています。これにより調剤薬局の収益そのものが減少傾向で、中にはダイレクトに年収に影響をしているという薬剤師も多いようです。以前の給与水準に比べて(落ちた)という感覚を持つ薬剤師も多いはずです。

4-4. 好待遇をつかむには?

調剤薬局の勤務で好待遇をつかむには、まずは職場内での地位を上げる事です。「管理薬剤師」は身近な目標になるでしょう。管理薬剤師になると手当として大体4~5万円程度がプラスされます。単純に計算するとこの手当分だけの年収アップが見込めます。全体の平均年収が低い調剤薬局でも管理薬剤師になる事により500万円超えを見込めるという事ですから、具体的な目標に据えると良いでしょう。もちろん医薬品の管理、従業員の監督といった責任を持つ事が大前提となるのは忘れないでください。
そしてもう一つ年収アップを見込めるのが、薬剤師が不足している地域での勤務です
最近は都市部では薬剤師は過剰になっているという報告も出ていますが、依然地方では不足しています。それによりかなりの好条件が示される所が多くあります。
仮に管理薬剤師として地方の調剤薬局で勤務を行えば、薬剤師の年収としてはかなり高めの800万円超えを目指していく事も十分可能です。

5. ドラッグストアの年収事情

5-1. ドラッグストアの年収傾向

調剤薬局に比べれば数は少ないものの、今かなり勢いがあるのはドラッグストアという業態でしょう。それだけに新卒への待遇は調剤薬局以上のものを提示する所が数多くあります。年収幅としては450万円 から700万円ほどになっています。

5-2. 年収面でのメリット

調剤薬局に比べてやや高めの年収になるのは、新卒で400万円前後がもらえる所も多いという理由があります。これは薬剤師全体を通しても初任給としてはかなり高いレベルと言えるでしょう。また大規模経営の所が多いというのも全体の平均を上げている要因です。
全体的にドラッグストア勤務の薬剤師からは、年収に関する不満はあまり聞かれません。

5-3. 年収面でのデメリット

ドラッグストアは高収入が魅力の一つとなっているために、年収面でのデメリットはあまり見られません。勤務時間が長い、という声も聞かれますがそれでも年収とのバランスが悪いとならないのは、高水準のベースがあるからでしょう。
ドラッグストア勤務の場合は、薬剤師の本来業務を考えたやりがいや専門性の低さ、雑用の多さ、転勤がある事などに不満が出がちです。年収面で強いて難を言えば、昇給に関してはあまり望めないという点が挙げられるでしょう。

5-4. 好待遇をつかむには?

ドラッグストアでより高収入を目指すなら、店長を目指すのが現実的でしょう。また薬剤師という立場の延長で考えれば、管理薬剤師を目指すという方法もあります。ドラッグストアの管理薬剤師の場合は、スタッフの薬事教育の任も多く任される事になります。管理薬剤師は手当としては2~4万円程度が見込めますが、店長の方が比較すると年収面ではより多く見込めそうです。薬剤師というよりも店舗経営にやりがいを見出す場合、権限も含めて店長を目標に据えるのも良いでしょう。
さて調剤薬局と同じく地方のドラッグストアでも薬剤師不足という面がありますが、地方に行けば年収が上がるという方程式は必ずしも成り立たないので要注意です。理由としては調剤薬局のように薬剤師の人数を一店舗に必ずしも多く揃える必要が無く、扱う品物も医薬品ばかりではないからです。そのために需要はあるとはいえ調剤薬局ほど深刻なものではありません。ドラッグストアなら年収で大きな落ち込みはないだろうと安易に考えた場合に陥りやすい落とし穴でもあります。

6. 病院の年収事情

6-1. 病院の年収傾向

薬剤師の勤務先として年収面だけを考えれば低いとされがちなのが病院です。年収幅では300万から600万円ですが、 病院によっても差が大きいというのがありますから、収入面はよく検討が必要です。
大きく分けると民間と公務員に分かれ、初任給が高めなのが民間です。ただし公務員の方は初任給こそかなり低めですが安定して昇給が行われていくため、トータルで見るとプラスに転じる事になっていきます。また民間病院でも大きな所は手当などを含めるとかなりの高収入が見込める場合もあります。

6-2. 年収面でのメリット

病院薬剤師の場合は、あまり年収面でのメリットが聞かれる事はありません。臨床現場に近くやりがいなどに多くのメリットを感じるようです。公務員では安定性と、長く勤める事で昇給のメリットが出ます。

6-3. 年収面でのデメリット

デメリットはもちろん全体的に低めの年収傾向です。特に昇給が見込めない民間では、やりがいと収入面でのバランスに悩む事も多いようです。病院薬剤師の年収が低いのは医師、看護師の優先順位が高く、薬剤師の年収が低くなってしまうのではと言われます。

6-4. 好待遇をつかむには?

公務員、あるいはそれに準じる立場で国立系病院に勤務すれば、生涯の安定と昇給が見込めます。中でも国立系病院では、民間に比べて定年前には年収で300万円以上の差がつくというのが定説です。一生同じ職場で、と決めて狭き門にチャレンジしていく気概があれば、選択肢に加えるのが良いでしょう。
民間病院では、夜勤等を増やす事で手当を付けるという年収アップの方法があります。また規模によっては民間病院でも良い条件が設定されている場合があるので、十分な事前のリサーチも必要になってきます。

7. 企業、製薬会社の年収事情

7-1. 企業、製薬会社の年収傾向

製薬会社の年収幅 は400万円から800万円と、かなりの幅があります。この開きにはMR職、また成果主義と言った面が強く影響していますので、製薬会社が一律高収入といったイメージは正しくありません。また大手で上場している会社と中小企業でも大きな開きがあり、一律に見る事ができないのが製薬会社の特徴です。

7-2. 年収面でのメリット

製薬会社のMR職、取り分け上場企業の大手であれば極めて高い年収が見込めます。20代後半で800万超え、30代で1000万円も現実的に目指していけるというのがこのポジションです。MR以外となってくると30歳前後で600万円前後となってきますが、800万円や1000万円という大台にのせるのは難しい所です。それでも薬剤師の年収全般で考えればかなり良い待遇と言えるでしょう。

7-3. 年収面でのデメリット

製薬会社、特にMR職で働いていく中で収入面だけに限れば大きなデメリットは見当たりません。強いて挙げれば成果主義が基本となるので、そのストレスやプレッシャーに打ち勝って好条件をつかみ続けなければならないという事でしょう。

7-4. 好待遇をつかむには?

基本は成果主義ですから、結果を出す事がさらなる好待遇をつかみ取る事に直結します。薬剤師という職種では極めて組織の真ん中にいる存在と言えますので、管理職になる事でさらに大きな年収を手に入れる事ができます。企業規模にもよりますが、課長以上になると1000~1400万円の高水準も見えてきます。

8. 転職時に押さえておきたいポイント

8-1. やりがいや仕事内容との両立

年収だけで薬剤師の勤務先を見ると、その優劣がずいぶんと分かってきます。
ここで問題になってくるのがやりがいとの両立です、専門職である薬剤師の場合は、仕事に専門知識が生かせるか、高めていけるかというのも大きなポイントになります。実際問題として薬剤師の多くが転職を決意する時、年収アップというのは大きな理由にならず、どちらかと言えば「指示通りにしか動いてはいけない」「仕事の幅が狭く感じる」「医師とのやり取りにストレスを感じる」などの理由です。新卒時から比較的高めの収入を得ているドラッグストアでも多くが転職をしていくのは「レジ打ちや商品の陳列といった薬剤師の専門性を生かせない仕事の多さ」「調剤をほとんどする機会がない」などです。

臨床に近い現場での業務に重きを置いた転職の場合だと、条件が落ちてしまう事に悩みつつも病院への転職、といった選択を行う薬剤師も少なくありません。

8-2. ライフスタイルとの両立

さて薬剤師という資格のメリットは、ライフスタイルに合わせて柔軟なワークスタイルが取りやすいというのが挙げられます。結婚や出産、子育てなどはその代表的なものです。また定年後に少しだけ働く、というスタイルもあります。
その際もパートや時短だから、というだけでなくその場合の相場観なども把握しておくと、損をしない勤務ができます。時給であればやはりドラッグストアの水準が一番高く、次いで調剤薬局、病院の順になります。もっとも額としてはせいぜい数百円程度の差ですので、あまりこの違いは気にする事はないでしょう。なおドラッグストアの時給水準は大体2000円程度とされますので、これを基準に考えると良いでしょう。

8-3. 地域性を知る

これまでも触れてきましたが、薬剤師が全体的に不足しているのは地方です。調剤薬局だとこれが顕著なため、年収アップも考え地方暮らしを選ぶというのも賢い選択です。
また同じ都道府県内であっても地域によっては100万円前後の年収の差が生じる場合があると言いますから、こうした穴場狙いも良いでしょう。

8-4. スキル、経験、資格を生かす

年収アップの王道と言えば、スキル、経験を上げる、あるいは資格を取るという事です。
スキルで言えばコミュニケーション能力、また経験ではマネジメント力は重視されるポイントです。3年以上の実務経験があれば、管理薬剤師を目標に据えるのも良いでしょう。
また研修認定薬剤師、専門薬剤師といった資格もキャリアアップの際に大きな武器になるでしょう。

8-5. 適切な年収を把握しておく

最後に、「情報」は大きな武器です。これまで読んで頂いた方は薬剤師の年収の相場観や勤務先による傾向を十分に把握された事でしょう。けれどもこうした情報は逐次変化していくものです。紹介会社に登録をしている方は最新の情報を得るパートナーとして、これを上手に活用していきましょう。

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薬プレッソ編集部

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薬剤師のみなさんが仕事でもプライベートでも、もっと素敵な毎日を送れるような情報を日々発信しています。

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