病院薬剤師に転職したい!採用されるためのコツやポイントってあるの?

「今は調剤薬局やドラッグストアで働いているけど、病院に転職したい」「でも、病院の中途採用はかなり難しいと聞いたことがある……」と、病院薬剤師への転職についてお悩みではありませんか?
病院での勤務は、高い専門性を磨くことができ、臨床経験を積めるので、人気のある職場のひとつです。しかし、その一方で「なかなか希望の病院で働くことができない」「転職できたのに、思った以上に大変だった」と後悔する人が多いのも事実です。
一般的に、病院への転職は難しいと言われていますが、決して不可能なことではありません。
この記事では、病院薬剤師のメリット・デメリットや希望する病院に転職するための秘訣を紹介していきます。
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病院薬剤師の実際の募集をチェックする
- 1 病院の種類
- 1-1 急性期病院
- 1-2 慢性期病院
- 2 病院薬剤師のメリット
- 2-1 専門性を磨くことができる
- 2-2 臨床経験を積むことができる
- 2-3 患者さんと対面して服薬指導ができる
- 2-4 チーム医療に関わることができる
- 3 病院薬剤師のデメリット
- 3-1 調剤薬局やドラッグストア勤務と比較して給料が安い
- 3-2 夜勤や当直があり、勤務時間・日数が長くなる
- 4 病院薬剤師への転職は難しい!?
- 4-1 新卒文化が強く、中途採用の募集が少ない
- 4-2 欠員を補充するための採用がほとんど
- 4-3 転職希望薬剤師が殺到する
- 5 それでも病院で働きたい……転職するコツとは?
- 5-1 転職サイトに登録し、1~3月は毎日欠かさずチェックを
- 5-2 欠員補充を逃さないために、転職コンサルタントに相談しよう
- 5-3 中小・民間の病院に絞る
- 5-4 慢性期病院で転職を考える
- 6 おわりに
1 病院の種類
実は、病院を大きく区分すると、「急性期病院」「慢性期病院」の2種類があります。病院の種類によって働き方も変わってくるので、ひとつずつ確認していきましょう。
1-1 急性期病院
患者さんの急変も多く、外来から入院してくるくる患者さんが多い病院を、急性期病院とでいます。患者さんの様態が日々変化していくことに伴い、処方箋の内容や薬の種類も変わっていきます。ルーティンワーク以外にも突発的な仕事が入るので忙しく、薬剤師としての知識や経験も問われるのです。
大学病院やがんセンターなどの大病院が、この急性期病院に該当します。医師や看護師などから学ぶことも多く、自身の専門性を深め、薬剤師としてスキルアップすることができるでしょう。
1-2 慢性期病院
一方で慢性期病院は、ある程度まで症状の落ち着いた患者さんに長期間入院を提供するための病院という立ち位置です。療養型病院とも呼ばれています。
そのため、毎日ほぼ決まった薬が処方されます。日々慌ただしい急性期病院に対して、比較的落ち着いて仕事をすることができるでしょう。
時間にゆとりを持ちながら仕事ができる代わりに、急変や処方も少なく、同じ業務の繰り返しになってしまうでしょう。日々の成長が見込めないというデメリットもあります。
2 病院薬剤師のメリット
病院勤務を希望して転職を行う薬剤師は非常に多く、人気のある職場と言えます。
薬剤師として病院に勤務すると、一体どのようなメリットがあるのでしょうか。
2-1 専門性を磨くことができる
一番の魅力は、専門性を磨くことができる点でしょう。
調剤薬局やドラッグストアでは、薬剤の調剤や処方が主な業務になります。しかし病院であれば、市場にある医薬品のほとんどを扱わなければなりません。輸液や抗がん剤のミキシングなどの仕事も経験できるようになり、薬物療法において高い専門性を追求することができるのです。
2-2 臨床経験を積むことができる
専門性を磨けるだけではなく、臨床経験を積むことができる点も、病院勤務が人気である理由のひとつとして挙げられます。
自分が担当する患者さんへの投薬治療は、調剤薬局やドラッグストアではできない経験です。
小中規模の病院であれば、転職してすぐに担当の患者さんを持てる場合もあります。臨床経験は積めば積むほど自身のキャリアアップにも繋がります。
2-3 患者さんと対面して服薬指導ができる
患者さんと対面をし、細かい服薬指導を行える点は、病院薬剤師として働くやりがいにもつながるでしょう。
調剤薬局やドラッグストア勤務では、患者さんに詳しい症状や医師の治療方針を把握するのはなかなか難しいですよね。その一方で、病院薬剤師であればカルテを見ながら患者さんと密接に関わることができるのです。
この経験が、医療従事者として働いているやりがいにもつながり、医療現場で活躍できる機会を得るための経験にもなるはずです。
2-4 チーム医療に関わることができる
病院であれば、医師や看護師など、他の医療従事者と協力しながら業務をすすめることができます。例えば、投薬治療やカンファレンスへの参加など、チームで医療に携わることができるでしょう。
調剤薬局やドラッグストアでの主な仕事内容は薬の処方や調剤であるため、チームで仕事を進めていく機会はなかなかありません。
3 病院薬剤師のデメリット
様々なメリットが挙げられる反面、デメリットもあります。
ひとつずつ確認していきましょう。
3-1 調剤薬局やドラッグストア勤務と比較して給料が安い
病院薬剤師は、業務内容が広いため毎日慌ただしく働かなくてはなりません。一般的に考えると、業務内容が広く、忙しい仕事であればその分だけ給与も高くなります。しかし、病院薬剤師の場合はそうではありません。大きな病院になるほど、給与の水準が低くなってしまうのです。
給与の面だけを考えれば、調剤薬局やドラッグストアの方が圧倒的に水準は高いのです。
3-2 夜勤や当直があり、勤務時間・日数が長くなる
病院薬剤師は、基本的に4週8休でシフト制の業務形態になります。そしいて、夜勤や当直を行わなければならない場合もあるので、勤務時間・日数が長くなってしまう傾向にあるのです。
夜勤や当直を行えば、それだけ手当がもらえるため、給与もアップします。しかし、生活が不規則になったり睡眠時間が削られたりすることも予想できるので、体力・精神面、共にきつくなってしまうかもしれません。
4 病院薬剤師への転職は難しい!?
一般的に、中途採用で調剤薬局やドラッグストアから病院へと転職するのは難しいと言われています。
実は、求人サイトなどで検索すると、病院薬剤師の求人を何件も見つけることができますが、慢性期病院である場合がほとんどです。
慢性期病院は、毎日ほとんど決まった仕事の繰り返しです。そのため、経験を積みたいと考えている若い薬剤師は、特に急性期病院を希望する傾向にあるのです。
つまり、「病院への転職は難しい」というのは、急性期病院への転職のことを指しているのです。
一体なぜ、急性期病院への転職は難しいのでしょうか?
4-1 新卒文化が強く、中途採用の募集が少ない
病院薬剤師は、ほとんど全員が新卒採用です。中途採用で病院薬剤師に転職するのは、調剤薬局やドラッグストアほど定着していないのです。
国公立病院では、新卒文化が特に強くなっています。更に、母体大学卒業生で占められていることも多いのです。そのため、中途採用の募集が出ることは滅多になく、難易度が高くなってしまいます。
4-2 欠員を補充するための採用がほとんど
病院薬剤師は新卒採用が多いことから、定期的な中途採用を行っている病院はなかなか探すことができないでしょう。中途採用が出ている時は、突然の理由で欠員を補充しなければならない時がほとんどなのです。
中途採用で病院への転職を考えている方からすると、欠員補充のための採用がいつ出るのかわかりません。転職難易度はかなり高いと考えておくべきでしょう。
4-3 転職希望薬剤師が殺到する
病院勤務を目指している薬剤師は多く、とても人気があります。かつ、欠員補充のための採用は1~2名程度。かなりたくさんの薬剤師が殺到し、倍率が数倍~数百倍になってしまう可能性があります。
どうしても働きたい病院があったとしても、倍率が高いことを考えると合格する確率は極めて低いと考えておいた方がいいでしょう。
5 それでも病院で働きたい……転職するコツとは?
人気もあり、実際に採用される可能性が低いとしても、どうしても転職をしたい薬剤師の方がいるでしょう。どうすれば、希望に近い転職ができるのでしょうか。
転職のためのコツやノウハウについて、紹介していきましょう。
5-1 転職サイトに登録し、1~3月は毎日欠かさずチェックを
病院薬剤師の採用は、欠員補充がほとんどです。最も欠員補充の出やすい1~3月までには転職サイトに登録して、毎日チェックをするよう心がけましょう。
なぜ、この時期に欠員補充がでやすいのかというと、理由は2つあります。ひとつは、新卒の学生が国家試験に落ちてしまう方がいるからです。そしてもうひとつは、配偶者の転勤をきっかけに急遽退職しなければならない方がいる場合です。その際に人が不足してしまい、募集が出るようになります。
5-2 欠員補充を逃さないために、転職コンサルタントに相談しよう
転職サイトを毎日欠かさずチェックしようとしても、毎日忙しく働きながら時間を割いてサイトを確認するのはなかなか難しいですよね。
そのような場合は、転職コンサルタントへの相談をおすすめします。
病院薬剤師に欠員が出た場合、まず相談を受ける存在が転職コンサルタントです。事前に相談し、詳細な転職希望を伝えておくと、希望病院の欠員補充採用が出た際に逐一報告してくれるでしょう。
5-3 中小・民間の病院に絞る
大手・国公立病院への転職は、欠員が出ることも少なく、難易度がかなり高いというのが現状です。
転職へのサードルを少し下げて、中小・民間の病院を中心に転職活動を進めていくと、病院薬剤師として採用される確率が高くなるでしょう。
中・民間病院でも、薬剤師としての専門性は十分に高めることができますし、臨床経験はより一層積むことができるはずです。
大手・国公立の病院に限定せず、広い視野を持って転職活動を進めていくことをおすすめします。
5-4 慢性期病院に転職を考える
慢性期病院への転職を考えるのもひとつの手です。急性期病院では、薬剤師としての専門性をより高めることができますが、その分人気があるため、転職するのはなかなか難しいでしょう。
多くの薬剤師が、急性期病院への転職を希望しています。「自分がなぜ絶対に急性期病院に転職したいのか?」をよく考えてみてもよいかもしれません。
6 おわりに
調剤薬局やドラッグストアの薬剤師が、病院薬剤師に転職する方法やコツを紹介してきました。
急性期病院に転職したい場合、求人数も少なく倍率も高いため、なかなかスムーズに転職できないかもしれません。
しかし、決して不可能なことではありません。
この記事で読んだことを実践すれば、病院薬剤師への転職の可能性がぐっと高まるはずです。転職活動を成功させるために、是非実践してみてくださいね。
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