薬剤師のコミュニケーション術 ~患者さん目線の服薬指導~ – 薬プレッソ

薬剤師のコミュニケーション術 ~患者さん目線の服薬指導~

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薬剤師は、医師の処方せんをもとに、薬を正しく調剤して、患者さんにお渡しします。
このとき、患者さんが正しく服薬できるように、正しい薬の情報を説明しなければなりません。これを、「服薬指導」と言います。

服薬指導には主に三つの目的があります。
一つ目の目的は、患者さんからより多くの情報を引き出し、質問に的確な回答をすること。
二つ目は、処方された薬がその患者さんの現在の症状にあったものかを確認すること。
そして三つ目は、薬効をしっかり理解してもらった上で安心して服用してもらえるよう、明確なアドバイスをすることです。

薬剤師には高いコミュニケーション能力が求められています。しかし、コミュニケーションを苦手としている薬剤師の方は少なくありません。

この記事では、患者さんと円滑にコミュニケーションを取ることのできる服薬指導の方法を紹介していきます。

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1.患者さんをお呼びする時

調剤薬局の場合、患者さんの名前を呼んで窓口に来てもらうその瞬間から服薬指導がはじまります。
ドラッグストアに勤務している薬剤師さんは、お客さんが薬を手にカウンターへと近づいてきた時を想定してください。

今回は主に調剤薬局での服薬指導を基準にして話をすすめていきますが、もちろんドラッグストアにお勤めの方にもあてはまる点がたくさんあります。

1-1.歩き方に注目する

まずは、歩き方に注目しましょう。
患者さんが窓口に来る瞬間は、患者さんの全体的な様子を把握する絶好の機会です。
体調が悪い方は足取りが重くなります。また、急いでいる方は早足で窓口までやってくるはずです。注意して観察するようにしましょう。

高齢の方や怪我をしている患者さんは、窓口に来るのも一苦労かもしれません。ベビーカーで赤ちゃんが眠ってしまい、名前を呼ばれても即座に席を外せないお母さんもいるでしょう。

いろいろな場合を想定し、患者さんの状況や体調に合わせて臨機応変に対応できるようになりましょう。

■ 待合室で服薬指導をする際の注意点
窓口に来るのが困難な患者さんには、待合室で座ったままの状態で服薬指導をすることもあるかと思います。
その場合、周囲には他の患者さんがいることを忘れてはなりません。
病状などのプライベートな内容について話す時は特に声のトーンや大きさに注意し、患者さんが不快な気持ちにならないよう心掛けましょう。

1-2.表情や顔色に気を配る

患者さんの表情や顔色にも注目しましょう。
患者さんがいつもより沈んだ表情をしていたり、顔色がすぐれなかったりする場合は、薬剤師もそれに応じた対応をしなければなりません。

患者さんは病院にかかった日、普段と同じように見えても内心不安な気持ちだったり、いつもより気が立っていたりするものです。
薬剤師は患者さんの不安定な気持ちを忘れず、思いやりを持って接しましょう。

2.服薬指導をしている時

服薬指導中にも、気を付けなければならない点や改善できるポイントがあります。

2-1.季節の話や時事ネタなどを会話に交える

服薬指導を行う際、緊張や不安で口が固くなっている患者さんには気軽に話せる話題から入ると良いでしょう。
特に、季節の話や時事ネタなどを交えてお話することは、患者さんとの距離を縮める上で有効な手段です。
話しやすい雰囲気作りに成功すれば、はじめは緊張していた患者さんも少しずつ自分のことを話してくれるはずです。

「薬剤師さんって、なんとなくとっつきにくい雰囲気がある」と感じている患者さんもいます。特に初回服薬指導時は親しみやすい態度で接遇にあたりましょう。

2-2.薬の飲みやすさや副作用などについて尋ねてみる

新規の患者さんや処方内容に変化があった患者さんには説明することがたくさんあります。
ですが定期処方が続いている患者さんの服薬指導は同じ説明の繰り返しになり、単調なものになりがちです。

そんな時は、服用中の薬の飲みやすさについて聞いてみたり、副作用が出ていないか確認してみたりしましょう。
処方された薬に服用しにくいものがある、副作用が気になるといったケースでは、患者さんは服用を怠りがちになります。薬剤師からの問いかけがあって初めてそのことが判明することも少なくありません。
その場合は忘れずに医師に疑義照会し、指示通り薬を服用していないことをその理由と共に伝えましょう。そして、剤型変更を提案するなど解決策を提案しましょう。

ただし、患者さんのノンコンプライアンスを医師に告げる時は患者さんの気分を害さないように注意しなければなりません。
なぜなら処方通り薬を服用していないことに罪悪感をもっている患者さんが多く、薬剤師が医師に“告げ口した”と取られ、あとあとトラブルに発展することがあるからです 。

また、基本的なことになりますが服薬指導をする中で副作用の兆候に気づいた時は、処方変更や処方中止を含めただちに医師に相談することを忘れてはいけません。

2-3.会話のネタに困ったら

会話のネタに困るのは定期処方が長く続いている患者さんのケースがほとんどです。
患者さんの体調が安定している印ですから喜ばしいことです。でも、せっかく定期的に顔を合わせる患者さんですから、会話を楽しみながらお薬を渡したいですよね。
そんな時のために、ささいなことでも患者さんの情報を薬歴に記載するよう普段から心掛けましょう。その患者さんと初見の薬剤師にも薬歴を通して情報を共有することができますし、会話に困った時の助けにもなります。
たとえば、患者さんが趣味や自慢にしていることを覚えておくと話が続かなくなった時に便利です。
趣味のことなんて服薬指導の役にはたたないと思うかもしれませんが、実際はそうでもありません。薬のことに直接関わらなくても、患者さんとの信頼関係の構築に役立ちます。

そうはいうものの、日によって患者さんの気分も変わります。「今日は○○さん、虫の居所が悪そうだな。」と感じたら、無理に会話を引き延ばさないことも大切です。

たとえその日は必要最小限の服薬指導しかできなかったとしても、次回以降の服薬指導でその分も巻き返せばいいのです。

3.服薬指導中の注意点

服薬指導中の薬剤師に求められることは、患者さんの状態を見極め、話に耳を傾けることです。また、患者さん目線で物事が考えることも大切です。

3-1.患者さんの状態を見極める

まずは、患者さんの状態を見極めましょう。
薬局に来る方にはそれぞれの事情があります。
病院で長時間待たされてすでに疲れている方、体調がすぐれない方、急いでいる方、子供連れの方、遠方から来ている方など様々です。

どのような患者さんが来ても、その患者さんの体調や状態に合わせた服薬指導を心掛けるようにしましょう。

3-2.混雑時こそ声を掛ける

薬局が混みあっている時間帯は、人が多くて待合室に座る場所がなくなることもあります。そんな忙しい混雑時こそ、薬剤師は冷静に対応しなければなりません。

たとえば、座って待っている患者さんにひと声かけ、混雑につき長時間待たせしていることを詫び、おおよその待ち時間を伝えてみましょう。
それだけでも患者さんの心は和らぎます。そこまで手がまわらないほど忙しい時は、手の空いている方にこの役をお願いしてもいいかと思います。

乳幼児連れのお母さんなどは、長時間待つことが困難なケースもあります。
当日中の別の時間に都合がつく患者さんには薬局の開局時間を伝え、比較的空いている時間の再来局をすすめるなど臨機応変に対応しましょう。

3-3.話し上手より聞き上手になる

薬剤師に大切なことは、聞き上手になることです。単純に情報を与えるだけでなく、患者さんの症状を聞き出し、カウンセリングをしていきましょう。

薬局に来る患者さんの多くは病気になったことにより不安な気持ちになっています。薬剤師はその不安を受け止める役目を期待されている面があります。

まずは患者さんの言葉に耳を傾けましょう。患者さんの発する言葉にはよりよい服薬指導にするためのヒントがたくさん隠されています。

実際に薬局で話をするうちに心を開いた患者さんが、「病院の先生の前では緊張して言えなかったのだけど、実はね…。」と前置きして自分の病気や服薬に関する不安を話してくれることがあります。

服薬指導をする際に大切なのは薬剤師の人となりです。
自分自身の表情やしぐさ、話のスピードや声の大きさにも気を配りましょう。身だしなみをきちんと整えることも大切です。
「ほかの人に自分の病気のことを知られたくない」と思っている患者さんも多くいます。初回からすべて聞き出そうとせず、時間をかけてゆっくりと信頼関係を築きましょう。

3-4.専門用語の利用を避ける

患者さんと会話をするときは、専門的な医療用語を使わないよう注意しましょう。
薬剤師間で使ってしまいがちな医療用語。しかし、患者さんにとって馴染みのない言葉はたくさんあります。服薬指導中に分からない単語がひとつあるだけで、会話につまずいて分からなくなるということも。

薬剤師は患者さんにとって、たくさんの医療知識を持った頼もしい存在です。
難しい薬や病気のことを誰にでも分かりやすい言葉で説明できることが、患者さんから信頼される薬剤師になるための第一歩になるでしょう。まずは、患者さんの目線に立って物事を考えることが大切です。

3-5.患者さんの立場に立って考える

「もし自分が患者さん側の立場だったとしたら、どんな薬剤師に服薬指導をお願いしたいと思うだろう?」、そのことを常に念頭に置くことは患者さんに喜ばれる薬剤師になるためのキーポイントです。患者さんの心理を理解し、いつでも心強い味方であるように心がけましょう。

患者さんと薬剤師、立場は違いますが人間同士です。口先だけの服薬指導だと心がこもっていないことが患者さんにも伝わってしまいます。多忙を理由に適当な服薬指導をしてしまいますと患者さんの心は離れ、次回は他の薬局に行ってしまわれるでしょう。

4.患者さんがお帰りの際に

服薬指導が一通り終わったら、不明な点がないかどうか患者さんに確認しましょう。
薬剤師側が一方的に「お大事になさってください。」と線を引いてしまうと患者さんはせかされた気分になり、質問しづらくなります。

説明がきちんと理解できたか、不安な点が少しでも残っていないか、患者さんに問いかけてみてください。患者さんがすべてを理解し納得して初めて、本当の「お大事になさってください」のあいさつができるのです。

5.終わりに

患者さんから求められる薬剤師といっても決まったひな形があるわけではありません。
患者さんの求めていることを敏感に察知し、ひとりひとりに合った服薬指導ができる薬剤師こそが、患者さんから求められる薬剤師だと思います。

一朝一夕では難しいですが、毎日の服薬指導の中でこの記事で紹介したことを心にとめてみてください。
服薬指導も人間同士のコミュニケーションであることを常に忘れず、患者さんと向き合っていきたいですね。

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この記事を書いた人

薬プレッソ編集部

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