みんなの残業、一斉調査! アンケート結果から見えた、薬剤師の残業の真実とは② 【残業代編】 – 薬プレッソ

みんなの残業、一斉調査! アンケート結果から見えた、薬剤師の残業の真実とは② 【残業代編】

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正社員で働く薬剤師150人に行った残業に関するアンケート。
前回は薬剤師さんのひと月あたりの残業時間や残業の理由、また残業時間を削減するための取り組みが行われているかどうかなどの結果を紹介しました。
勤務先や年代などによる違いはあるものの、全体としては約85%の人が「20時間以内」の残業をしているという結果となり、短めの時間ではあるものの多くの人が残業をしていることがわかりました。
後編となる今回は、残業をした際の残業代について、全額支給されている? 支給額についてどう思う? といったお金に関する本音を紹介。
「みなし残業」が社会問題となっている中で、薬剤師の実態はどうなっているのか、注目の結果となっています。

薬剤師の残業代、半数は「全額支給」であるものの……

■ 薬剤師の残業代支給状況

はじめに、残業代の支給状況についてのアンケ―ト結果をご紹介します。
全体の割合としては、「全額支給」が50.7%、「一部支給」が17.3%、「なし」が30%という結果となりました。
半数以上が「全額支給」ということでホッとする反面、「なし」という回答も30%あるところが気になりますね。
年代や職種ごとに、さらに深く見ていきましょう。

年代が上がるごとに、「全額支給」の割合が減少

■ 年代別の残業代支給状況

年代別に見ると、「全額支給」の割合は20代で70%、30代で54.4%、40代で47.6%……と、年代が上がるごとに減少していっていることがわかりました。
理由はデータから直接読み取ることはできませんが、可能性の一つとして、年齢が上がることで管理薬剤師などの役職についた結果、残業代が固定となってしまう、いわゆる「みなし残業」制度が影響していることが考えられます。

■ 職種別の残業代支給状況

■調剤薬局

■病院

■企業

職種別に見てみると、「全額支給」は調剤薬局勤務で46.4%、病院勤務で55.3%、企業勤務で66.7%と、企業に勤める薬剤師さんが最も全額支給の割合が高いことがわかりました。
調剤薬局では「なし」が38.1%と気になる数値となっていますが、この辺りについても、前述の「みなし残業」制度の影響が強いのかもしれません。

残業代は「少ない」と感じる人が多数派!

続いて、「残業代についてどう感じているか」という質問に対するアンケート結果をご紹介します。

■ 残業代についてどう感じるか


全体としては、「充分。満足している。」が38%、続いて「少ない。自分の働きに見合っていない。」が22.7%、「少ないがこの程度が妥当だとあきらめている。」が26%という結果になりました。
後者の2つを「少ない」というカテゴリとして見ると、「充分」の38%に比べて「少ない」が48.7%となり、多くの人が現在の残業代を不満に感じていることがわかります。

病院勤務の方が「少ない」と感じる人が多い

■ 残業代についてどう感じるか(職種別)

■調剤薬局

■病院

■企業

更に職種ごとに見てみると、「充分。満足している。」と回答した人は調剤薬局勤務で37.1%、病院勤務で34.2%、企業勤務では53.3%となっています。対して、「少ない。自分の働きに見合っていない。」と「少ないがこの程度が妥当だとあきらめている。」を合計した「少ない」という回答は、調剤薬局勤務で46.4%、病院勤務で57.9%、企業勤務で40%でした。
調剤薬局勤務と病院勤務の結果を比較すると、先ほどの質問で「全額支給」の割合が多かったのは病院勤務の方でしたが、満足度に関しては病院勤務の方が低かったのが興味深いですね。

約6割の人が今の労働環境に「問題を感じている」という結果に

最後に、「残業を含め、今の労働環境をどう感じているか」というアンケートの結果を紹介します。

■ 現在の労働環境についてどう感じているか

■全体

「現状に満足しており、今のままで良い。」と回答した方は、全体で38.3%、職種別では調剤薬局勤務で39.6%、病院勤務で31.6%、企業勤務で46.7%という結果でした。
続いて、「今すぐではなくても良いが、いつかは何とかしたい。」という回答と「問題を感じており、近いうちに何とかしたい。」という回答を合算した、「現状に問題を感じている方」の割合も見てみましょう。
こちらは全体では58.4%、職種別では調剤薬局勤務で55.2%、病院勤務で68.4%、企業勤務で53.3%という結果でした。
職種別の回答結果で先ほどの「残業代についてどう感じているか」の回答に近い比率となったのが印象的ですね。

「労働環境」と「残業時間」には深い関わりが

最後に、同じ質問の残業時間別での回答結果を見てみましょう。

■ 現在の労働環境についてどう感じるか(残業時間別)


「現状に満足しており、今のままで良い。」と答えた方は、残業がない人で79.0%、ひと月あたりの残業時間が1~10時間の人39.8%、10~20時間程度の人で30.4%でした。
その後は一気に下がり、30時間を超えると満足している人は0%となりました。
一方、「今すぐではなくても良いが、いつかは何とかしたい。」と「問題を感じており、近いうちに何とかしたい。」を合わせた「現状に問題を感じている方」の割合は、残業時間に比例して増加しています。
残業が全くない人では21.1%にとどまっているのに対し、残業時間が月に10時間以内の人で55.4%、10~20時間という人では69.6%にまで上昇しました。
はアンケート結果からは不満の要因は読み取れませんが、「残業時間が不満につながっている」のは間違いないようです。どんな労働環境でも、満足度を決定するポイントは「納得感があるかどうか」。残業が発生する理由は納得できるものか、報酬(残業代や役職手当)は働きに見合った妥当なものであるか。これらの納得感が、薬剤師さんが働く上で重要であることは言うまでもありません。

全体を通してみると、残業は傾向としては少ないものの、年齢が上がり役職がつくことによって増えていき、そのことが職場への不満となるケースが多いようです。
また、前編でご紹介したように、残業理由に「医院の問題」や「処方遅延」が多く挙がるなど、「時間外」にやらざるを得ない事情の仕事が降ってきた結果残業が発生する、という状況は、薬剤師特有と言えるでしょう。
仕事の効率的といった薬剤師さんの努力では改善が難しい問題ではありますが、薬局や病院側などでも全体の約25%では残業を減らすための取り組みが実現しているというデータもありますので(前編「みんなの残業、一斉調査! アンケート結果から見えた、薬剤師の残業の真実とは①【残業時間編】」
参照のこと)、できるところから薬剤師の「働き方改革」も進んでいってほしいと思います。

(文・「薬プレッソ」編集部)

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「みんなの残業、一斉調査! アンケート結果から見えた、薬剤師の残業の真実とは①【残業時間編】」

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