編集部提言 経営層は現場の管理栄養士、薬剤師の高い意識とアイデアを活用すべき 月刊MD編集長 野間口 司郎 – 薬プレッソ

編集部提言 経営層は現場の管理栄養士、薬剤師の高い意識とアイデアを活用すべき 月刊MD編集長 野間口 司郎

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▼目次

 

機器・設備

有効な店舗に絞って機器や設備を導入する

 スギ薬局では10店舗程度に1店舗の割合で「核店舗」と称した健康サポート機能を強化させた店舗を設けている。特集で紹介したスギ薬局牟呂店は、9つの項目にわたってセルフで健康チェックができる先端店舗である。高齢者のみならず家族連れや若い世代も測定に訪れるとのことで、健康の自己管理にとって地域貢献している。

 ツルハドラッグ手稲星置駅前店も、健康サポートのために各種測定機器や整骨院までを備えている。

これら健康測定機器などの設置に加え、上記両店ともセミナーや相談会などができるちょっとしたコミュニティスペースを設けている。地域に向かって健康の維持増進に関する情報を発信し、意識を高めるためにはきわめて有効な空間である。

 このように、店舗に健康サポートのための機器・設備・サービスを設けることで、地域住民の健康サポートに貢献でき、支持が集まるだろう。コストを考えれば、全店でなくてもよいので、立地を見て効果的とおもわれる店舗を選別して強化してもよい。

 

資格者活用

管理栄養士の潜在能力はもっと活用されるべき

 今回の取材で印象的だったのは、資格者がいずれも健康サポートに関する高い意識を持ち積極的に行動していることであった。薬剤師は処方せん対応だけでなく、栄養やOTCに関する幅広い知識を持ち、あるいは勉強中で、その知識を生かして処方せんを持ってきた患者のみならず、売場で迷っている買物客に対してもコミュニケーションをとっている。

「処方せんだけではいまのニーズに応えられない。セルフメディケーションから高度な薬物医療、そして、看取りまで相手に合った提案ができる薬局、薬剤師が求められている」というクオールの薬剤師・小栁 悟氏の発言も意義深い。薬剤師は健康サポートのニーズを肌で感じている。経営層は教育の機会を提供するとともに、彼ら、彼女らの高い意識を尊重、活用すべきだろう。

 資格者の取材では管理栄養士の新たな可能性も見えてきた。スギ薬局の管理栄養士・田嶋みかさんの「専門分野を持った管理栄養士の育成、活用」というアイデアは、健康サポートに新たな局面を切り開くかもしれない。

 田嶋さんは「ダイエット(肥満)」「シニア」「臨床(病気)」「スポーツ」4つの専門分野を挙げており、いずれもニーズが高く対象人口は多い。食と運動が健康サポートに果たす役割は非常に大きいが、管理栄養士の役割と同様に、まだ十分に具体的な施策として社会に普及していない。多数の店舗というインフラを持つドラッグストアが、会員制のような形で「管理栄養士が徹底サポートするダイエット(肥満対策)講座」といった活動を始めれば一定のニーズはあるだろう。スポーツクラブと提携するという形態もアリだ。

 こういった前向きで可能性のあるアイデアを持っていること自体、管理栄養士の意識、能力の高さ、豊かな発想力をうかがわせる。

さらに、新たな効果を生みつつあるのが、トモズの薬剤師と管理栄養士が連携した患者の栄養指導である。これは田嶋さんのアイデアでいえば「臨床(病気)」に特化した管理栄養士の取組みといえる。

 処方せんを持ってきた患者に薬剤師が管理栄養士を紹介する形で栄養指導を行う。活動は薬歴および専用の台帳に記録して経過を見る。生活習慣病の多くは食生活や飲酒の習慣と密接に関係しており、医薬品による治療と食による健康ケアを両輪にすれば、重篤化を食い止めることが可能になるだろう。

 現場の体感では、病院でも十分カバーできていないケースもあるようで、展開次 では大きなニーズを捉えることになるかもしれない。

 

新定番創造

悩み、症状別に売場に拡散した商品を再編集する

 現在のヘルスケア売場は、OTCは風邪、鎮痛・消炎、胃腸など薬効別、健康食品売場の多くは、悩み、症状別ではなく、ブランド、メーカーなど単品別に陳列されていることが多い。要は、予備群も含めて2,000万人以上の対象がいる「糖尿病」や「高血圧」といった、症状、悩みに対応する売場が十分にできていないということだ。

薬事法など法令の関係で、表現や陳列にはたしかに注意を要するだろう。しかし、これからのヘルスケア売場はニーズの高い悩み、症状をテーマに編集した「新定番」を積極的に創造していくべきだろう。

アルフレッサヘルスケアの展示会はヘルスケア売場の「新 定 番 づくり」=テーマ設定という意味で非常に参考になる。特集で紹介しているのは「フレイル(虚弱)」「感染症対策」「メタボ対策」「女性の悩み」などである。

 スギ薬局牟呂店では実際に「おなか周りが気になる方に」「目の疲れ、ピントが気 になる方に」「妊活している方に」といったテーマ別の定番でヘルスケア売場を構成している。テーマが一般性を欠いていたり、漠然としすぎていればわかりにくい売場になるだろうが、明快で対象人数が多いテーマでなら、この編集方法の方が断然わかりやすい。

 健康サポート機能を強化するために、有効なテーマを見つけ売場に拡散している商品を集めて新定番をつくるべきだろう。

 また、既述のとおりだが、今回の取材を通じて現場を担当する資格者の意識や能力の高さ、おもいやりの心を痛感した。健康サポート機能の強化には、本部の全体設計に基づき、現場からの気付き、考え、工夫をうまく活用することがなにより有効だろう。

月刊マーチャンダイジングの発行元である株式会社ニュー・フォーマット研究所および関連取材先の許可を得て、転載しております。

転載元:月刊マーチャンダイジング 2017年4月号 35ページ
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薬プレッソ編集部

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