資格者クローズアップ① スギ薬局牟呂店 管理栄養士 健康チェックのフォロー、各種相談会で健康サポート ニーズの高い専門分野を持つことで 管理栄養士の可能性はさらに広がる 【月刊MD】 – 薬プレッソ

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資格者クローズアップ① スギ薬局牟呂店 管理栄養士 健康チェックのフォロー、各種相談会で健康サポート ニーズの高い専門分野を持つことで 管理栄養士の可能性はさらに広がる 【月刊MD】

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スギ薬局牟呂店では「体組成(体重、筋肉量など)」「脳年齢」「血管年齢」「血圧」「ヘモグロビン」「体のゆがみ」「骨密度」「足腰年齢、体の反射」「肌の状態」の9項目を無料でセルフチェックできる高い健康サポート機能を持っている。その店舗に勤務する管理栄養士の田嶋みかさんに、日ごろの仕事ぶりや管理栄養士の可能性などを聞いた。

▼目次

 

健康チェックの結果は台帳に記入経過を見ることで継続利用を促す

 田嶋みかさんは入社7年目、スギ薬局が管理栄養士の採用を本格的に始めてからの第2期生に当たる。スギ薬局牟呂店には2016年6月から勤務。これまで店長としての経験も3年あり、店舗全体を見渡す視野と管理栄養士としての専門的な知見、両方の視点で日々の業務に当たっている。

 弊誌2017年2月号で紹介したように、スギ薬局では10店舗に1店舗当りを目安に「核店舗」と呼ばれる健康サポート機能を強化した店舗を設ける計画を立てており、一部エリアではこの体制が整いつつある。冒頭紹介したとおり牟呂店はその中でも最先端の設備を持つ店舗である。

 田嶋さんの現在の活動は、セルフで健康チェックをした人に、悩みに応じてアドバイスすることが中心となっている。相談者の希望によって、食事、運動、健康食品などの選択肢からアドバイス。相談内容が病気や服薬とも関連する際は、薬剤師との連携も図っている。

 「お客さまの健康チェックの結果は台帳に付け管理しています。一度測ったお客さまにアドバイスして差し上げ、次回来店時にどうなっているを再度チェックする。一度だけに終わらず継続的に健康管理できるよう、再来店の流れをつくるようにしています」(田嶋みかさん、以下同)

 

ベビー、キッズの健康サポートで生涯顧客の入り口づくり

 スギ薬局牟呂店では毎週金曜日、乳幼児を対象にしたイベントを行なっている。イベントは1歳半未満を対象にした「ベビーセミナー」と、1歳半〜保育園、幼稚園入園までの子供に向けた「キッズクラブ」の2種類がある。前者は離乳食やスキンケア、アレルギーなど主に健康に関すること、後者はこいのぼりづくりやけん玉講習など季節性も取り入れた遊びが主体となる。

 田嶋さんはこれらのイベントを通じて講師を務めるほか、ベビーの栄養・健康相談に乗ったり、「ママの栄養」と題して母親向けに授乳中の栄養補給や妊娠中に気を付けるべき点を指導したりする。

 妊娠中や子育て時期の母親は、近隣に相談できる人がいなければ孤立してしまうこともあり、とくに第一子の育児に悩みはつきものである。そのときに相談できる場があることは心強い。

 セミナーを通じて顔見知りになったお客から、ほかのイベントや買物で来店したときに声を掛けられることもあるとのことで、ベビー、キッズおよび子育て中の母親の健康サポートが生涯顧客の入り口になり得ることを実感している。

 

店内多職種連携で 多彩なイベント企画を立案

 スギ薬局牟呂店では、ベビー、キッズのほかにも土日を中心にイベントを開催。管理栄養士である田嶋さんを中心に店長(登録販売者)、薬剤師、ビューティアドバイザーが各自知恵を持ち寄り相談して内容を決めていく。

「それぞれの立場からテーマが出るので、自分ではおもいつかないことも多く刺激になっています」

 ちなみに2017年2月のイベントのテーマは「花粉対策にも話題の商品〜ヨーグルトの違いを知ろう自分にあうヨーグルトはどれ?」「糖質オフを知ろう!〜普段食べているおやつの糖質知っていますか? 糖質オフ商品の試食もあります」などとなっている(図表2)。

「『糖質オフを知ろう』というイベントでは体験型の企画になるよう、5gのスティックシュガーを用意し、和菓子、洋菓子、おにぎりなどの食品にスティックシュガー何本分の糖質が含まれているか実際にその本数分だけ並べて目で見てわかるようにしました。糖質オフ食品の試食も行い、糖質と健康の関係を具体的に説明、体験していただきました」

 

栄養指導と運動の組合せで 改善効果は一層高まる

 現在、健康チェックのフォロー、イベントの企画、講師を中心に活躍する田嶋さんだが、日々の仕事を通じて管理栄養士にはどのような職域拡大の可能性があるかを聞いた。

「もう少し運動の提案をしたいとおもっています。体組成計で測ると筋肉量が少ない方もいらっしゃいます。高齢の方など筋肉量が少ないと運動能力が衰えて外出がおっくうになり、それでまた筋肉量が減るという悪循環に陥ることもあります。そういう方には筋肉をつける運動指導が効果的です。

 また、体のゆがみ測定に基づきストレッチの指導をすることもあります。椅子に座ったり、立ったりの動作は指導できますが、寝た姿勢でするストレッチは店内ではできません。口で説明して家でやってくださいとなってしまいます。ヨガマットが1枚敷けるスペースがあると指導できる範囲が広がります。

 あるいは近隣のスポーツジムと提携して、器具は使わず時間限定で場所だけ使わせてもらい、ストレッチや柔軟運動をするなどといった手段もあるかもしれません。簡単なストレッチ運動を繰り返すことで膝の痛みが解消したというケースもあります。コンドロイチンを紹介するだけでなく膝の痛みが軽減する運動方法も提案できれば、仕事の幅は確実に広がります」

田嶋さんによると、栄養指導で筋肉量を増やすとき、適切な運動も同時に行うことで効率的に筋肉量を増やすことができるという。スポーツ栄養学という領域もあり、栄養指導とスポーツ、筋肉の発達は密接に関係している。

 

管理栄養士が専門領域を持つことで健康サポート機能がアップ

 田嶋さんは、管理栄養士の職域拡大について、運動のほか、いくつかの専門領域をつくり、その領域に詳しい管理栄養士を育成。立地別に専門知識のある管理栄養士を配属し、特色のある健康サポートサービスを提供することが今後必要とされるのではないかと考えている。

 田嶋さんが当面有効ではないかと考える専門領域は「スポーツ」「シニア」「臨床(病気)」「ダイエット」の4つである。

 たとえば、駅や都市部の若い女性が多いエリアの店ならダイエットに詳しい管理栄養士を配置して食事やサプリメントでダイエットをサポートする。高齢者の多い地区なら「シニア」領域の管理栄養士が成人病や筋肉量増強の指導、商品紹介をするといった具合である。

 管理栄養士の専門性をニーズの高い領域に分化、高度化させ、健康サポート機能を高める。田嶋さんの考えはお客の健康、美容に貢献することはもちろん、店舗の特色と地域における支持を高める効果がある。

 管理栄養士の未開拓職域として、さらに田嶋さんは、現在自分が関わっている在宅施設での栄養指導を挙げる。

 きっかけは、高齢者施設で訪問調剤をしているスギ薬局薬剤師からの相談に始まる。配置基準の都合で一定の規模のない施設には管理栄養士が配属される義務はない。そのため食事、栄養指導でどうしても手の届かないところが出てくる。

 同じ食材でも食べる人の病気や健康状態に合わせて、調理方法を変える必要があり、田嶋さんは主にその仕事で同僚の薬剤師を手伝っている。

 管理栄養士のいない小規模の介護施設で、栄養、調理の指導をする──これも要介護者の状態の悪化を防ぐ健康サポートである。

スギ薬局 牟呂店

所在地/愛知県豊橋市東脇4-22-12 店舗面積/320坪 専門家体制/薬剤師2人、管理栄養士2人、登録販売者6人、ビューティアドバイザー1人

月刊マーチャンダイジングの発行元である株式会社ニュー・フォーマット研究所および関連取材先の許可を得て、転載しております。

転載元:月刊マーチャンダイジング 2017年4月号 24〜25ページ
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薬プレッソ編集部

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