店舗リポート① ツルハドラッグ手稲星置駅前店 薬剤師、管理栄養士、柔道整復師、登録販売者、 ケアマネジャー、複数の資格者と健康測定機能で地域住民の健康をサポート【月刊MD】 – 薬プレッソ

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店舗リポート① ツルハドラッグ手稲星置駅前店 薬剤師、管理栄養士、柔道整復師、登録販売者、 ケアマネジャー、複数の資格者と健康測定機能で地域住民の健康をサポート【月刊MD】

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ツルハドラッグ手稲星置駅前店では、セルフによる各種健康チェック、 多彩な専門家の配置で健康サポート機能強化に努めている。ツルハ初となる試みを従業員インタビューを交えて紹介する。

▼目次

 

生活、人生のあらゆる局面で健康を手厚くサポート

 ツルハドラッグ手稲星置駅前店は2016年12月8日オープンした、ツルハドラッグの中では健康サポート機能を強化、さらに、それを担うさまざまな資格者を常駐させた初の試みの店舗となる。

 資格者は、薬剤師、管理栄養士、登録販売者、ケアマネジャーを設置。併設する整骨院には柔道整復師と針灸師がいる。

 健康測定コーナーでは「骨の健康度」「肌年齢」「ストレス・血管年齢」「脳年齢」「体組成」「血圧」の6つの項目が測定でき、健康サポートのための手厚い体制が敷かれている。

 また、ツルハでは3店舗目となる介護用品専門コーナー「ツルハホスピタリティプラザいきいきらくらく」はケアマネジャーの資格を持つ相談員が常駐し、各種介護用品の販売からケアプラン作成、施設の紹介まで行っている。

 ツルハドラッグ手稲星置駅前店は、病気になる前の未病・予防から、OTC医薬品によるセルフメディケーション、医療による治療(調剤)、介護まで生活や人生のあらゆる局面で健康サポートする拠点となっている。

 

足元商圏と遠隔商圏の 2つの商圏構造

 同店の立地環境は、駅前ながら周囲に大規模マンションや一戸建て住宅などが立ち並び 、住宅街としての特徴も持っている。駅前、住宅街の2つの環境を有していることから、客層も若い子育てファミリー層から高齢者まで幅広い。

 また、店舗がある札幌市手稲区は札幌市の北西に位置しており、小樽市との距離も近い。手稲区と小樽市の間には、高齢者が多数居住しており、この地域から手稲エリアへ買物や生活ニーズを満たすために移動する人も多い。

 同店では足元の小商圏内のニーズ に加え、やや離れた高齢化率の高い地域も商圏と見なしている。

 資格者の充実ぶりや健康測定機能に加えて、この店では健康サポート機能の一環として、店舗のレイアウトやインテリアにも工夫を凝らした。主通路は高齢者でも通りやすく広く取っていることに加え、プロモーションのワゴン什器などは置かないよう配慮。主通路天井部分にはやわらかな曲線を導入し、来店者の気持ちを落ち着かせる癒やし効果を狙った。

 さらに、シャンプー、リンスなどカテゴリー名を示すサインボードやレジのサインボードには木目調のデザインを採用、こちらも心を和ませるやわらかい演出となっている。低タンパク(腎臓病患者向け)のインスタント食品など、他店にはない健康に気遣った商品も揃えている。

 STAFF’S VOICEのコーナーで紹介しているとおり、管理栄養士、薬剤師は社歴は浅いが重要な役割を担っており、コミュニケーション能力は高い。資格だけでなく高いコミュニケーション能力もこの店の強みだろう。

 

STAFF’S VOICE 1

コミュニケーション能力を生かして健康サポートで固定客づくり

 定位置は健康セルフチェックコーナー付近で、チェックが終わった方には結果に関するフォロー、アドバイスをするようにしています。血管年齢チェックを利用する方が多く、一番人気です。たとえば、血管年齢を若返らせるためには食物繊維をとった方がいいですよ、とアドバイスして次回来店時に改善されていると、お客さまも私もうれしい。こういう関係を続けると固定客になっていただけるとおもいます。

 健康セルフチェックコーナーとヘルスケア売場は近いので、食事指導だけでは足りないとおもわれるお客さまにはサプリメントの紹介をします。前の店舗で化粧品を担当していたので、肌年齢チェックを利用した方に化粧品の紹介をすることもあります。

 メーカーと共同で月に1回栄養相談会を開催しています。お客さまによっては、テレビや雑誌などから間違った情報を得ている方もいるので、そこを正すのも私たちの役割です。栄養に関する知識も重要ですが、コミュニケーションによってお客さまの状態、訴えたいことを聞き出すことも大切。食事の状況だけでなく、日常の悩みなども聞いて信頼関係ができると、改善されることも多くなると感じています。接客がしたくてツルハに入社したので、天職に巡り合えました。

 薬剤師には、勉強中の薬のことでわからないことがあれば聞きますし、仕事で連携することもあります。

 

STAFF’S VOICE 2

商品知識を増やして健康改善の提案力を強化したい

 普段は調剤薬局で調剤事務を担当しながら、事務の仕事がないときは目の前の健康セルフチェックコーナーを利用しているお客さまのフォローをします。4メーカーと共同で相談会を企画しており、その際は講師のサポート役を担当します。

 これからセルフメディケーションの重要性はますます高くなっていくとおもいます。身近なDgSで健康セルフチェックや相談会を開催することで、お客さまが健康に興味を持ってくださるのはとてもいいことで、病気の予防にもつながります。

 管理栄養士としての勉強はしてきたのですが、商品知識の足りなさを実感しており日々勉強中です。商品知識を増やしてカロリーや栄養学だけでなく、お客さまの健康改善につながる商品をご案内できるようになりたいです。

 

STAFF’S VOICE 3

健康を守る選択肢は豊富。栄養アドバイスもできるようになりたい

 調剤だけでなく、OTCのことも勉強できるのでツルハ入社を決めました。時間があるときは調剤室から出て、ヘルスケア売場でOTCの案内をすることもあります。以前経験したのは膀胱の症状にお悩みのあるご高齢の方に漢方系のOTCをお勧めして喜ばれたことがあります。

 健康を守る選択肢は調剤だけでなく、OTCやサプリメント、サポーターなどの健康関連用品まで幅広くあります。それらの知識ももっと勉強しなくてはいけません。

 管理栄養士が近くで働いており、こういう機会もあまりないので、調剤だけでなく栄養のことももっと勉強して、食事、栄養に関するアドバイスができるようになりたいです。

 

STAFF’S VOICE 4

健康サポート機能は競合優位に立つためにも有効

 当店の目玉でもある健康セルフチェックコーナーへのお客さまの関心は非常に高いです。何名かは毎日のように測りにいらっしゃいますが、まだご利用いただいていない方には、健康チェックできることを知っていただき、習慣にしていただきたいとおもっています。

 ほかの店にない機能、資格者がいる特別な店なので注目度が高く、いかにそれらを使いこなしお客さまに満足していただけるか、スキルアップも必要です。さまざまな資格者の能力を店の魅力として最大化するために、シフトの組み方ひとつをとってもパズル的な難しさがあります。

 高齢化が進んで、病院に行くにも足がなく自由に行けない、そういうことも起こり得るので、病気になる前に予防する、重篤化させない対策が必要で、このお店のようなところで気軽に相談することが大事になります。

 自社店舗も含め、周辺には競合店がたくさんあるので、この店舗の健康サポート機能は差別化にとっても大きな強みです。

 

STAFF’S VOICE 5

ほかのツルハとは違う魅力を武器に地域に愛される店を目指す

 この薬局に健康測定機器がたくさんあって、さまざまな資格者がいることをまずは広く周知させる必要があります。そのために広告やチラシ、店内告知など通常やっていない販促を打っています。この店の機能を知ってもらえれば地域でシェアを拡大する有効な手段になります。

 現在11店舗担当していますが、私が求めるのはほかの店とは違うツルハを見せたいということです。店内のサインの書体もすべて揃えて統一感を出しており、店内インテリア、照明、色使いも特別なしつらえです。ポスターなどもなるべく張らずにシンプルにしています。

 機能、資格者、店内の雰囲気で来店する方の心が満たされ、地域のお客さまに愛される店、気軽に相談できる店になってほしいです。

 

STAFF’S VOICE 6

個人の履歴をまとめた「ヘルスケア台帳」を活用する

 健康サポート機能を深掘りするために「ヘルスケア台帳」という顧客ツールを導入する予定です。一部では既に実施しています。

 健康セルフチェックで測定されたお客さまには毎回その記録を付けて、どういうアドバイスをして 差し上げたか、どういう商品をお買い求めいただいたかを記録すれば、その台帳をもとにコミュニケーションが取れます。

 また、調剤の患者さまにも調剤で薬歴と健康セルフチェックの記録、アドバイス、物販購入などの履歴を統合的に付けて薬局で管理する。このような個人別のファイリングを用意すれば一人の担当者だけでなく、ほかの資格者もそのお客さまの相談に乗ることができます。

 店のサービス、商品やアドバイス機能を統合的に活用するためには有効なツールになります。

 

意識、能力の高い資格者が 活躍できる設備、環境を整える

 STAFF’S VOICEで紹介した中で、管理栄養士2名は入社1年目と2年目、管理薬剤師は入社3年目といずれもフレッシュな戦力である。

彼女たちは社歴、経験が決して豊富とはいえないが、責任あるポジションを任されており、コミュニケーション能力、使命感ともに非常に高い。

 薬剤師の伊藤さんは薬学部6年制世代でOTCに関する教育も受けてきた。就職に当たっては、調剤業務だけでなく、OTCやサプリメントなど幅広い知識や経験を身に付けたくてツルハを選択している。管理栄養士の碇さんも接客が好きでドラッグストア(DgS)を就職先に選んだ。現在の仕事を自ら「天職」といっている。

 DgS企業が、薬剤師を収益性の高い調剤業務の「資格要因」として捉えている傾向は依然としてある。しかし、最近の薬剤師は薬学教育の段階でOTCに関する知識を含め、処方せんが出る前の健康サポートに関する知識を学び、意欲も高い。調剤業務を機械化などで簡易化して、こうした意識、能力の高い人材と来店客との接点をいかに多く持たせるか。それは目先の数字だけでなく、店舗が商圏内で支持され、シェアを上げるためにも非常に有益なことである。

 管理栄養士に関しても、専任で健康サポートを担当させるためには費用対効果の面で課題はあるだろうが、複数業務との兼務の中で、明確な仕事として健康サポート業務を担当してもらうことが、管理栄養士の従業員満足につながるだろうし、店舗の支持を高めるだろう。

 ツルハドラッグ手稲星置駅前店では、意識の高い薬剤師、管理栄養士が近い関係にあり、連携、相乗効果が生まれつつある。

 資格者の高い意識を活用して、彼ら、 彼女らが活躍できる設備、環境を整えることは健康サポート機能を向上させ、店舗の評価も上げることにつながる。

ツルハドラッグ手稲星置駅前店

所在地/札幌市手稲区星置1条2-2-1 売場面積/290坪 資格者/薬剤師2名 管理栄養士2名 登録販売者3名 営業時間/9:00〜22:00

月刊マーチャンダイジングの発行元である株式会社ニュー・フォーマット研究所および関連取材先の許可を得て、転載しております。

転載元:月刊マーチャンダイジング 2017年4月号 14-19ページ
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薬プレッソ編集部

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薬剤師のみなさんが仕事でもプライベートでも、もっと素敵な毎日を送れるような情報を日々発信しています。

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