メディエイド – ICTで患者と薬剤師をつなぐ「薬局パレットライン™️」がかかりつけ薬剤師をサポート、2018年大変革期に備える【月刊MD】 – 薬プレッソ

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メディエイド – ICTで患者と薬剤師をつなぐ「薬局パレットライン™️」がかかりつけ薬剤師をサポート、2018年大変革期に備える【月刊MD】

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メディエイドは医療とICT(情報通信技術)を結び付け「新しい医療社会」の実現を目指し2005年に創業。医療現場との協働でさまざまな成果を挙げている。メディエイドが患者(家族)と薬剤師をつなぐアプリとして開発を進めているのが「薬局パレットライン™️」である。かかりつけ薬剤師をサポートし、2年後に控えた医療、介護の大変革期へ備えるサービスを検証する。

▼目次

薬局パレットライン™️の基本機能

患者や家族同士が病気体験情報を交換する患者をSNSベースに発展

 2008年、メディエイドは「患者SNS」という考えで「ライフパレット」を開発。がんなどの比較的重症な患者同士が、病気体験情報などを交換したり、互いを励ましたりする日本で唯一の患者コミュニティサイトとしてサービスを開始した。

 最盛期には約1万人の会員を擁し、患者や家族のみが持つ闘病生活情報や、症状や治療法などの情報、会員間の激励メッセージ、アドバイスなどが活発に書き込まれ、病気で困難な状況にある人、そしてその家族のQOL(生活の質)向上に貢献した。いまもサービス提供を継続しており、現在、さらなるサービスを追加した「新ライフパレット」を開発中である。

 現在開発が進む「薬局パレットライン™️」は、この「新ライフパレット」との連携も可能だ。近況を書き込み、患者や家族同士で情報をやり取りする機能とは別に、患者(家族)と薬剤師をつなぎ、双方向のコミュニケーションを図ることで、かかりつけ薬剤師の業務をサポートし、ユーザーの健康を多方面から支援するサービスである(図表1)。

薬局パレットライン™️利用者とユーザーメリット

 薬局パレットライン™️はスマートフォン上で使用するアプリである。メッセージがタイムラインで(時系列)表示されるなど、スマホアプリのLINEを想像すると分かりやすい。

患者(ユーザー)はアプリをダウンロードし、薬局で発行されたQRコードを読み込むことで、まず薬剤師とつながる。薬剤師はユーザーの服薬指導を専任的、一元的に行う「かかりつけ薬剤師」もしくはそれに匹敵する薬剤師であることが前提となる。

薬局で調剤するときに対面で服薬指導を行うが、常時、この薬局パレットラインTMでつながっていれば、副作用などが発生した時の薬剤師に対する質問や、必要に応じて薬剤師側からユーザーに対して服薬状況や副作用に関する確認や店舗で行われる健康相談会などの案内もオンラインでできる。夜間・休日担当者を設定することもできるので、かかりつけ薬剤師が応答できない時は、その担当者からの連絡が可能である。

さらに現在開発中の新ライフパレットには、体重、体温、血圧、血糖値など自分の健康に関する数値をセルフで測定して、定期的に入力する画面がある。薬剤師はその値を見ながら必要に応じてアドバイス、数値いかんでは来局や医療機関への受診を勧めることもできるようにしている。

医療関連ICTの世界ではPHR(Personal Health Record=個人健康情報の記録)という考えが、健康をサポートするためには有効だと考えられている。つまり、健康に関する数値を自己測定して記録しサーバ上にアップ、自己管理に加え、医療従事者などの専門家が見てアドバイスすることで、有効な健康管理ができるという考えである。アップルやマイクロソフトなど大手ICT企業もこの考えに基づきアプリを開発している。

 将来的には電子カルテや電子お薬手帳と合わせ、個人の健康情報は一元的にデータ管理されることも予測されている。

 薬局パレットラインTMでは、患者と薬剤師が常時つながっていることで服薬指導の拡充や緊急時対応ができることをサービスの柱としているが、もう一つの柱がPHRをベースにした健康管理、サポート機能である。

かかりつけ薬剤師業務の見える化で正当な評価を受ける

 薬局パレットライン™️の当初参加者は、患者(家族)と薬剤師が中心だが、将来的にはユーザーと相対するのは、薬剤師だけでなく、管理栄養士なども加えて食事指導をしたり、運動指導したりすることも想定している。

「2016年の調剤報酬改定で、かかりつけ薬剤師の算定要件が示されました。かかりつけ薬剤師の同意書を取り、かかりつけ薬剤師の出勤表や緊急連絡先を患者さんに渡すなどのサービスの見える化の試みが始まっていますが、なかなか患者さんにはこのサービスが見えにくい部分もあるのではないかと思います。現在のスマホ普及率などを考えると、電話だけでなくICTを活用して、24時間対応を行うなどのことができた方が、患者さんやご家族により安心を、見える形で与えられるのではないでしょうか。

薬局パレットラインTMは、患者さんやそのご家族が薬剤師とつながることで、服薬指導や健康サポートの充実を図るサービスです。同時に、薬剤師が本当にかかりつけ薬剤師として働いている、健康サポートしていることを『見える化』するツールでもあります。そのことにより、薬剤師、薬局が正当な評価を受けることにもつながります」(取締役COO矢島弘士氏)

一時期、「医薬分業しているにもかかわらず薬価は減らず、薬剤師の仕事は医薬分業の精神や報酬に見合っていないのではないか、院内処方に戻すべき」という批判があった。批判は一部的を射ている部分もあるが、薬剤師の仕事が見えにくいために誤解されている部分も大きい。

薬局パレットラインTMのように、薬剤師の適切な仕事、患者との関わりが見える化することで、社会から適切な評価を受けることも重要だ。そのことで、薬剤師のモチベーションが上がり、技術、コミュニケーション能力の向上が期待できる。

2018年大変革期への備え

「医療」「介護」「医療計画」3つが同時改定される2018年

  医療機関の診察代と薬代(調剤報酬)を合わせた「診療報酬」は2年に1回改定され、「介護報酬」は3年に1回改定される。また、医療機関の適正な配置や病床(ベッド)数、緊急体制の整備など医療全般に関して都道府県単位で策定する「医療計画」は5年ごとに見直される。

 これら「医療」「介護」「医療計画」の3分野すべての改定、見直しの年となるのが2018年である。団塊世代すべてが後期高齢期を迎える2025年を前にした最後の同時改定の年に当たり、厚労省は地域包括ケアシステム構築に向け大胆に舵を切ってくることが予想される。

「2016年の調剤報酬改定は、次の改定へ向けた布石で次回は、かかりつけ薬剤師の算定要件は通常の服薬指導に含まれ、点数も70点より下げられる可能性もあります。今回は、地域包括ケアシステムに備え薬剤師の役割を整備して、在宅医療への対応も考えてほしいという厚生労働省のメッセージだと受け止めたほうがよいでしょう。2018年の3つの同時改定では、大きな方針が示され、いまのうちから準備しておかなければ、ふるいにかけられる薬局、ドラッグストア(DgS)も出てくるようにおもいます」(矢島氏)

矢島氏は、2018年の同時改定では、かかりつけ薬剤師機能に加えて、地域包括ケアシステム構築に向け、薬剤師が在宅医療へ積極的に参加することがさらに具体的に示されるのではないかと予測する。

薬局パレットラインTMでは、薬剤師が在宅調剤にも参画して、医師、看護師、介護職や介護する患者の家族などと連携する多職種連携を取る際にもサポート機能を発揮するサービスを盛り込む計画だ(図表1パレットサークルTM)。

さらに、在宅医療は患者の生活を支えるための医療であり、DgSの薬剤師は店舗で販売されている商品を使って患者のQOLを上げることもできる。また、未病予防、重症化予防にもDgSの商品は活用できる。

「かかりつけ薬剤師として一人の患者さんを継続的に見て、不幸にして介護や療養が必要になったら、その患者さんをよく知っている医療人として、かかりつけ薬剤師が、医師や看護師、介護職のコーディネーター的な役割で在宅調剤を行う。そして、最期の看取りまでを担当する。薬局パレットラインを介した薬剤師と患者さんの付き合いがそんな生涯の付き合いにまで発展できるよう、サービス内容を拡充させたいとおもっています」(矢島氏)

いまの40代、50代は普通にLINEなどのSNSを活用している。薬局パレットラインTMのようなサービスで薬剤師とつながり、服薬指導から最期の看取りまでを一人の薬剤師に担当してもらえるとしたら、QOL、QOD(QualityofDeath=死の質)は改善し、薬剤師の地位も向上するだろう。

株式会社メディエイド

本社/東京都千代田区内神田3-2-1
代表者/代表取締役杉山博幸
設立/2005年
資本金/5,000万円


月刊マーチャンダイジングの発行元である株式会社ニュー・フォーマット研究所および関連取材先の許可を得て、転載しております。

転載元:月刊マーチャンダイジング 2016年7月号 24-25ページ
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薬プレッソ編集部

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