みんなの残業、一斉調査!アンケート結果から見えた、薬剤師の残業の真実とは①【残業時間編】 – 薬プレッソ

みんなの残業、一斉調査!アンケート結果から見えた、薬剤師の残業の真実とは①【残業時間編】

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今や国全体に関わる大きな課題となっている「働き方改革」。労働環境の改善は世の中の流れとなっています。

「残業はできるだけしたくない」。これは、働く人誰もが願っていること。きっと薬剤師のみなさんも同じではないでしょうか。しかし、実際の職場では、日々残業が発生するのが現実です。そこで「薬剤師さんはどれくらい残業を課せられているのか」「残業に対して、改善策はどの程度導入されているのか」など、薬剤師の残業に関する実態を探るべく、正社員として働く薬剤師の方150名を対象にアンケートを実施。そこからさまざまな勤務実態が見えてきました。

では、薬剤師さんのリアルな声を聞いてみることにしましょう。

 

薬剤師の残業時間、最多はひと月「約1~10時間」

■ 薬剤師のひと月あたりの残業時間(薬剤師全体)


薬剤師の方はどのくらい残業をしているのでしょうか。
アンケートでは、約85%の人が「20時間以内」との回答をされています。詳細に見ると、ひと月あたりの残業時間が「約1~10時間」という回答が56%と最も多く、次点は「約10~20時間」。3番目に多かった回答は「ない」の12.7%でした。

年代別にみると、20時間以内と回答した人は、20代で90%、30代で80%前後、40代~60代は75~78%でした。年齢差の理由は、残念ながら今回のアンケート回答から読み解くことはできませんでしたが、年齢が上がることで管理薬剤師など責任のある立場になり、さらに残業が発生している可能性が考えられます。

また男女別にみていくと、全体的に女性の残業時間は男性に比べ少ない傾向が見られます。20代では男女差はそれほどありませんが、30代以降、とくに40代の女性では「残業ナシ」もしくは「10時間以内」と回答された方が多く、薬剤師においても子育てによる女性の仕事への影響が見て取れます。

36協定の影響!?~薬局と病院、企業で残業時間に特徴あり

次に、勤務する施設の種類別に残業時間をみていきましょう。薬局、病院、企業、それぞれの残業時間を比較してみると、どこも半数以上の方が残業時間は10時間以内と回答。しかし、詳しく見ていくと、薬局と病院に対し、企業の残業時間で異なる特徴が見られました。

■ 薬局に勤務する薬剤師の残業時間

■ 病院に勤務する薬剤師の残業時間

■ 企業に勤務する薬剤師の残業時間


薬局と病院で最も多かった回答は「月に約1~10時間程度」。ともに半数を超えています(薬局が61%、病院が53%)。また、30時間を超えて残業している人の割合は、薬局で5.2%、病院では10.5%にのぼり、中には「100時間を超える」という回答もありました。

一方企業では、残業時間が「ない」と回答された方が26.7%、「約1~10時間」が33.3%で、「約10~20時間」が26.7%と、いずれの回答も30%前後と、分散する結果になりました。「約20~30時間」と答えた方も13.3%いるものの、全員、残業時間が30時間に収まっているのも特徴的です。

アンケートでは詳細な回答を得てはいませんが、残業が少ないとされている卸メーカーの管理薬剤師や学術薬剤師、コールセンター業務に従事されている方が残業が「ない」もしくは「「約1~10時間」と回答されていると思われます。また、MRやMS、治験コーディネーター等は業務の性質上、みなし残業制をとっている場合が多く、実際の業務時間の実態を必ずしも反映していない可能性はあるものの、企業では、36協定で定められている「年間で360時間、1ヵ月45時間」の上限を意識していることが読み取れます。

適切と思う残業時間は「5時間以内」

「適切だと感じる残業時間は月に何時間ぐらいですか」との問いに対しては、「約1~5時間程度」が35.3%、「残業なし」が30%と、5時間以内という回答が全体の約6割を超えました。実際には、約半数の方が月に「約1~10時間」の残業をしていることから、理想と現実の間に数時間から10時間程度のギャップがあることがわかります。
ただし、企業勤務の薬剤師さんについては、40%が理想は「約5~10時間程度」と回答しており、調剤薬局、病院勤務と比較するとやや多くなっています。これは実際の残業時間が多めということも影響しているのでしょう。

では、みなさん、どのような理由で残業をしているのでしょうか。薬局、病院、企業別にその理由を見ていきましょう。

閉店間際に患者が集中……。調剤薬局の残業理由とは?

■ 調剤薬局での残業理由


第1位は「患者対応」(22.7%)、第2位が「医院の問題」(18.6%)、第3位が「営業時間の延長」(11.3%)という結果になりました。

他の施設と比べ特に目立つのが、「医院の問題」の割合の多さです。隣接する医療機関の診療時間に影響を受けるのは調剤薬局ならではと言えるでしょう。また、約10%の薬剤師さんが「営業時間が延長される」と回答するなど、求人票等に記載される「営業時間」からは分からない職場の勤務実態もアンケート結果から浮かびあがってきました。

自由回答を見ても、
「薬局の営業時間ギリギリにきた処方箋を処理するため」(30代女性)
「閉店時間を過ぎて閉店準備をしている間にも患者さんがきて断れない。」(50代女性)
など、閉店間際に来局する患者対応に追われたり、
「処方箋発行元の診察時間の延長」(50代男性)
「クリニックの診察時間が長引くため」(30代男性)
など、医療機関の診察状況にも影響を受けざるを得ない実態も。
中には
「門前の診療所が閉店時間を越えるので閉められない」(40代女性)
「門前薬局だが隣りの医院が開院しているので」(40代男性)
など、そもそも営業時間が現実に即していないという職場もあるようです。

また、国が推し進める、かかりつけ薬剤師や在宅業務による残業も発生しており、
「かかりつけ薬剤師なので呼び出しがあるから」(40代女性)
「在宅業務のため」(50代女性)
「施設調剤」(40代男性)
といった回答も見られます。

その他、棚卸や在庫管理、薬歴記入、エリアマネジメントなど、営業時間中に患者対応に追われて後回しにした業務を残業して行っているという回答も寄せられました。

総じて、薬局の残業の原因は、夕方に多くの患者さんが医療機関に掛かることで仕事が閉店間際に集中してしまうことにあるようです。
処方箋応需義務があるため、薬剤師は薬を必要としている患者さんを断われません。閉店時間が過ぎていても、近隣の病院や診療所が開いていれば、次々と患者さんがやってくる……。このような状況が重なってしまい、残業が増えていると考えられます。

病棟管理、外来対応、勉強会に時間外会議……。病院では根本的な人手不足で残業が発生中

次に病院で働く薬剤師さんの残業理由を見ていきましょう。

■ 病院での残業理由


第1位は「患者対応」(18.4%)、第2位が「人員不足」(16%)、第3位が同率で「処方遅延」「その他」(13.2%)という結果になりました。
第2位の「人員不足」に加え、「業務負担」(11%)が第4位につけるなど、根本的に「人員不足」を理由に挙げている人が多いようです。

具体的な回答で特徴的だったのが、病院ならでは“病棟業務”による残業です。
「病棟業務担当者なので、退院処方が遅かったり、緊急入院対応、指導記録入力など」(30代男性)

「病棟業務は5時きっかりには終われない事や、調剤や病棟以外の他の業務があるので」(30代女性)
「患者さんの要望にそのまま答えると時間がかかる」(50代女性)
といった声が寄せられました。

また、
「勉強会のため」(30代女性)
「時間外会議」(30代女性)
「カルテが書ききれなかった時。棚卸しの時」(30代 女性)
など、残業の業務内容が多岐に渡るのも病院ならでは。
他にも
「入退院増加による調剤の増加」(30代女性)
「救急外来」(30代女性)
など、病院勤務ゆえの残業も発生しています。

一方で、
「医師の処方箋発行が遅い」(40代男性)
「駆け込みの受診の対応」(30代女性)
「外来が長引くため」(40代女性)
など、調剤薬局に通ずる理由も見られました。

夕方に仕事が集中しがちな薬局と比べ、病院の残業は、病棟業務や勉強会、時間外会議など、業務内容が多岐に渡る点が特徴的です。根本的な「人員不足」が発生する理由も、ここに起因するのかもしれません。

業務内容を反映!? 多岐にわたる企業の薬剤師の残業理由

■ 企業での残業理由


第1位は「業務負担」(46.7%)、第2位が「会議・勉強会」(26.7%)、第3位が「その他」(13.3%)と、企業で働く薬剤師さんの場合「会議・勉強会」という回答が目立ちました。また、薬局や病院と異なり「患者対応」が10%に満たないのも特徴的です。

具体的な回答でも、
「時間外に会議があるため」(40代 女性)
「夜診後のドクターとの面会」(20代女性)
「患者来局」(40代男性)
など、新薬開発や治験コーディネーター、MRのなど調剤薬局や病院とは仕事内容が異なることから、残業理由もまた調剤薬局や病院とは異なっていることが分かります。
また、「残務処理」な具体的な業務内容には触れない自由回答が目立ったのも企業ならでは。回答の第3位に「その他」が来ることからも、多岐に渡る仕事に追われている様子がうかがえます。

残業時間削減の取り組みは進んでる?

ここまで、薬剤師の残業実態について見てきました。

最後に、勤務先での残業を減らす取り組みの有無に関するアンケート結果をご紹介します。

■ 残業時間削減の取り組み実態(薬剤師全体)


「(勤務先で)残業を減らす取組みは行われていますか? また、それは実現しそうですか?」という質問をしたところ、残念ながら「取組み自体、行われていない」(40.7%)と「取組んでいるが、実現は難しそうである」(28.7%)という回答が合わせて約7割という結果に。一方で、「取組んでいて、実現している」という回答も約25%に上りました。

削減取り組みは病院が一歩リード。しかし実現は難しく……。

調剤薬局、病院、企業ごとに取り組みの実態に違いがあるのかも気になるところ。そこで勤務先別に取り組み状況を比較してみたいと思います。

■ 調剤薬局での残業時間削減の取り組み実態

■ 病院での残業削減の取り組み実態

■ 企業での残業削減の取り組み実態


調剤薬局と企業では、「取り組んでいる」回答した方は50%前後という結果になりました。
一方、病院は「取り組んでいる」の割合が76.3%と高いのが特徴です。これは、医師の労働時間を見直す動きが高まっている影響かもしれません。しかし、その詳細を見ていくと、すでに残業時間が削減されている、もしくは削減しそうな割合が約35%に上る一方、「取組んでいるが、実現は難しそうである」と答えた方が41.2%と、厳しい現実も伺えます。

とはいえ、薬局、病院、企業とも、「取組んでいて、実現している」の回答が20%を超えており、少しづつかもしれませんが、様々な職場で薬剤師の働き方が改善の方向に向かっていると言えるのではないでしょうか。

正社員で働く薬剤師150人に行った残業に関するアンケート。まだまだいろいろ聞いています。気になる “残業代”の支給実態や、残業に対する意識調査など、続きは後編でご紹介したいと思いますお楽しみに。

(文・「薬プレッソ」編集部)

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