薬剤師の労務管理【第9回】産前産後休業、育児休業について

産前産後休業・育児休業はどのくらい取れるの?
「産前産後休業(産休)」「育児休業(育休)」は、労働者に認められる権利です。「産休」は女性労働者が出産の前後にとる休業で、男性は取ることができません。産休で認められる期間は、産前は6週間、それから産後は8週間です。どんな職場であってもこの期間の休暇取得は認められています。
「育休」は、女性に限らず男性も取ることができます。育休で認められる期間は、子供が1歳になるまでです。待機児童問題で、子供が1歳になっても保育園に預けることができず、育休明けに職場へ復帰できないという状況があり得ます。こういった場合は、子供が2歳になるまで「育休の延長」が認められています。
(平成29年の9月までは延長期間が1歳6ヶ月まででしたが、法改正により、平成29年10月からその期間が延びて2歳まで延長可能となりました。)
男性の育休取得がなかなか広まらない中、私が関わっている病院・薬局で、1, 2ヶ月程の短期間ではあるものの、男性薬剤師が育休を取得しました。この先、男性に対しても育休取得を認めていく動きは、「男性も働きやすい職場」として人気を高めていくかもしれません。
休業中の給料は出ない?支給される手当は?
産休・育休期間のお給料について、会社や薬局、病院は、賃金を支払う義務はないため「無給」とすることができます。とはいえ、収入が全く無くなる訳ではありませんのでご安心ください。
産休は健康保険から「出産手当金」が、休業前の給料の3分の2支給されます。育休は雇用保険から「育児休業給付金」が原則1歳まで、延長の場合は2歳まで支給されます。最初の6ヶ月間は休業前の給料の3分の2、それ以降は2分の1です。
人手不足の業界で「育休」を取得するには?
個人薬局や小規模の病院では、産休・育休が大きな問題になることがあります。産休・育休は権利ではあるのですが、休みの穴をどうフォローしていくかが非常に難しいのです。残った人数でカバーするか、派遣社員で代替をするか、新しい人を採用するかなど、雇い主は非常に頭の痛いところです。
円滑な休業や復職が行えるよう、働く皆さんにできることがあります。「分かった段階でなるべく早く伝え、いつからいつまで休みたいのかを相談する」「自分の仕事を整理してワークシェアし、業務が滞らないように引き継ぐ」などです。このような協力的な姿勢があれば、雇い主は、皆さんを快く送り出してくれるのではないでしょうか。
今回のポイント
・産休について、産前は6週間、産後は8週間、育休については原則1歳まで認められている(最大2歳まで延長が可能)
・産休・育休期間は、社会保険から休業前の給料の3分の2程度の手当が支給される
・産休・育休申請を快諾してもらえるよう、早い段階で相談し、業務の引き継ぎを円滑に行う