薬剤師の労務管理【第6回】勤務時間、休憩時間について

薬剤師にとって、労務管理で認められる権利を知ることは自分を守ることに繋がります。本シリーズでは、薬剤師が知っておくべき労務管理のあれこれについて、社会保険労務士の長友先生から講義形式でお伝えいたします。今回は、「勤務時間、休憩時間」についてのお話です。
法律で定められている勤務時間の上限
労働基準法に基づいた勤務時間の上限は、1日8時間、1週間40時間以内です[1]。どんなお勤め先でも、この範囲内で労働時間、始業・終業時間が定められています。
ただし、規模の小さい調剤薬局では、1週間の労働時間が44時間まで延長可能とされている場合があります[2]。
法律で定められている休憩時間の制限
休憩時間についても、法令上の制限が存在します。6時間が一つの基準になります。1日の勤務時間が6時間以内であれば、休憩時間の義務はありません。勤務時間が6時間を超えると1日45分、8時間を超えると60分の休憩時間を設けることが義務付けられています。
休憩時間内は、基本的に自由に過ごすことが認められています。例えば、休憩時間に電話当番で席から自由に離れられないのは労働時間にあたり、残業相当となる可能性があります。
メリハリをつけた働き方を
勤務時間、休憩時間は、労働基準法の縛りの中で会社が決めます。契約を結んだ以上、労働者は、職務専念義務を負います。例えば、「勤務時間中に仕事以外のことをする」というような職務放棄をすれば、就業規則内の職務専念義務違反が課せられてしまう可能性があります。
ですから、「きちんと休憩時間を取り、勤務時間は職務に専念する」ということが重要です。
残業や休日出勤の際には、通常の賃金とは別に手当が支払われます。「残業代」「休日出勤代」については、次回解説します。
今回のポイント
・勤務時間の上限は1週間40時間、1日8時間以内である
・勤務が6時間を超えると45分、8時間を超えると60分の休憩時間が与えられる
・きちんと休憩時間を取り、勤務時間は職務に専念することが重要である
参考条文
[1] 厚生労働省 「労働時間・休日に関する主な制度」
[2] 厚生労働省 「法定労働時間と割増賃金について」
長友秀樹(ながとも ひでき)
一般企業に就職後、MR、社会保険労務士(社労士)資格を取得。人事コンサルタントとしても活動経験を持つ。MR・人事コンサルタントとしての知見を生かして、自身の事務所を独立開業。医療業界に係わる人事・労務の諸問題の解決を中心に扱っている。