~2017年を振り返って~薬剤師ゆく年くる年アンケート結果

いよいよ2018年となりますが、2017年は薬剤師にとってどんな1年だったのでしょうか?今回、薬剤師157名の方にアンケートを実施し、2017年を振り返っていただきました。薬剤師さんが新たな1年の過ごし方や仕事上の目標を考える際の参考になれば幸いです。
- 1. 回答者の属性
- 2. 仕事が充実していた人は8割以上。病院より調剤薬局で充実感が高い
- 3. 仕事で忙しさを感じていた薬剤師は8割
- 4. 約7割の薬剤師は職場でのストレスあり
- 5. ストレス発散方法、最も多かったのは美味しい食事・お酒
- 6. 職場の人間関係は「良好」が8割以上。病院が調剤薬局を上回る
- 7. 人間関係でうまくいかなかった相手、最も多かったのは上司・先輩
- 8. 薬剤師全体の7割以上は職場に不満
- 9. 職場で言われて嬉しかった言葉、多かったのは患者からの「ありがとう」
- 10. 「努力しても報われない…」職場でむなしさを感じた瞬間
- 11. 勉強、教育、転職…2017年に仕事でやりたかったけれどできなかったこと
- 12. 1年を振り返って、自分の仕事の点数は何点?
- 13. 仕事に限らず2017年は総合的にどんな1年だった?
- 14. まとめ
回答者の属性
回答者157名の内訳は以下のようになっています。
- 年齢・性別
- 勤務先種別
- 勤務形態
このように、最も多いのは30代女性・調剤薬局勤務・正社員となっているものの、20代~60代以上の年代や男性薬剤師、病院薬剤師など幅広い層から回答をいただいています。
仕事が充実していた人は8割以上。病院より調剤薬局で充実感が高い
薬剤師の2017年の仕事の充実感は下図のようになっています。
全体では「充実していた」「まあまあ充実していた」が8割以上と、薬剤師の仕事での充実感は比較的高いことが見て取れます。また、調剤薬局勤務の薬剤師を病院勤務と比較すると、病院よりも調剤薬局で充実感が高い傾向となっています。
仕事で忙しさを感じていた薬剤師は8割
一方で仕事の忙しさに関しては、「非常に忙しかった」「それなりに忙しかった」を合わせて8割の薬剤師が忙しさを感じている結果となりました(下図)。
勤務先別にみると、病院では「非常に忙しかった」という薬剤師が30%と調剤薬局に比べて多い一方、「忙しくなかった」と回答した薬剤師も13%と比較的多く、非常に忙しい人と忙しくない人で二極化する傾向も見られます。
約7割の薬剤師は職場でのストレスあり
職場でストレスを感じる瞬間がどれぐらいあったかについて薬剤師に回答してもらったところ、下図のような結果となりました。
「頻繁にあった」「まあまああった」を合わせると、約7割の薬剤師は職場でのストレスを感じていたという結果となりました。また、病院勤務では「頻繁にあった」と「あまりなかった」が調剤薬局に比べて多くなっており、ここでも病院ではストレスを頻繁に感じている薬剤師とそうでない薬剤師に二極化している傾向が出ています。
ストレス発散方法、最も多かったのは美味しい食事・お酒
薬剤師のストレス発散方法(複数回答)では、最も多かったのが「美味しいものを食べる、美味しいお酒を飲む」という結果となりました(下図)。次に多いのは「とにかくたくさん寝る」と「旅行」となっています。
職場の人間関係は「良好」が8割以上。病院が調剤薬局を上回る
勤務先での人間関係に関する回答は、下図の結果となりました。
全体では「良好だった」と「まあまあ良好だった」を合わせて8割以上の薬剤師が、職場での人間関係は良好だったと回答しています。調剤薬局勤務と病院勤務で比較すると、病院勤務で95%の薬剤師が良好と回答しており、調剤薬局を上回る結果となりました。
人間関係でうまくいかなかった相手、最も多かったのは上司・先輩
全体的に良好な人間関係の中でも強いてうまくいかなかった相手では、「上司・先輩」という回答が最も多い結果となりました(下図)。
調剤薬局と病院で比較すると、病院勤務の場合は医師・看護師などの他職種との関係も多いのに対して、調剤薬局勤務の場合は、薬剤師間での関係でうまくいかないという回答が目立ちます。また、病院勤務では患者との関係がうまくいかないという回答はなく、患者との関係性でも調剤薬局と病院で違いが出ていることがうかがえます。
薬剤師全体の7割以上は職場に不満
職場に不満を感じる瞬間についての回答では下図の結果となりました。
「頻繁にあった」と「たまにあった」を合わせると全体で7割以上が職場に不満を感じていたという結果となっています。調剤薬局よりも病院で不満を感じる頻度は高い傾向にあり、職場の忙しさやストレスとも関連していると考えられます。
職場で言われて嬉しかった言葉、多かったのは患者からの「ありがとう」
2017年に職場で言われて嬉しかった言葉では、服薬指導後の「ありがとう」など、患者からの感謝の言葉が回答として多く挙がりました。以下に自由回答例を一部ご紹介します。
調剤薬局
・「ありがとう」(患者より)
・「ここで薬をもらうことにしてよかった」(患者より)
・「仕事が早い」(患者より)
・「一緒に仕事がやりやすい」(同僚より)
・「進みたい道があるのは良い事、若いうちしか出来ない。頑張って」(同僚より、転職する旨を伝えた際)
病院
・「一緒に仕事できてうれしい」(同僚より)
・「安心して薬が飲めます」(患者より)
・「患者の背景を考えて具体的に回答してくれるので、とても参考になる」(医師より、肺炎治療で抗菌薬の選択に関する問い合わせへ回答した際)
「努力しても報われない…」職場でむなしさを感じた瞬間
2017年に職場でむなしさを感じた瞬間については、患者への工夫が実を結ばない、提案が上司に聞いてもらえない、など努力が報われないという内容の回答が多く挙がりました。自由回答例は以下のようになっています。
調剤薬局
・一包化などさんざん工夫して支援してもコンプライアンスが悪い患者
・添付文書と違う用法だったので、疑義したがドクターにはそのままでいいと言われたこと
・上司に仕事の改善策を話したら、あっそうですかと言われて一蹴されたこと
・患者から説明はいらないと言われた時
・患者さんから聞かれた質問に答えられなかったこと
病院
・医師に粉砕不可の薬の粉砕をやめて欲しい、と説明したとき、うんうんと聞きながらも、処方を変更してくれなかったこと
・提案を受け入れてもらえなかった時
・薬剤の知識がついておらず患者さんの質問に答えられずごまかしてしまったこと
勉強、教育、転職…2017年に仕事でやりたかったけれどできなかったこと
2017年中に仕事でやりたかったけれどできなかったことについて質問したところ、勉強や自己研鑽に関する回答が多く挙がりました。その他には社員の教育や、なかには転職といった回答も見られました。自由回答例を以下に一部ご紹介します。
調剤薬局
・疾患についてもっと知識を付けたかった
・認定薬剤師の取得
・後輩の指導
・後発使用率80%越えをしたかったが達成出来なかった
・転職
病院
・病院実務実習の指導薬剤師のワークショップに行けなかった
・抗菌薬の適正使用にしっかり取り組めなかった
・病棟業務の充実
1年を振り返って、自分の仕事の点数は何点?
2017年の自分の仕事の点数についての回答の結果は、下図のようになりました。
70~80点が最も多くなっており、まずまず良かったと感じている薬剤師が多いことがうかがえます。
仕事に限らず2017年は総合的にどんな1年だった?
仕事以外も含めて1年を総合的に振り返った結果は下図のようになっています。
「良い一年だった」「まあまあ良い一年だった」を合わせると約8割となっており、2017年を振り返って良い年だったと考えている薬剤師が多かったといえます。
まとめ
今回のアンケート結果は、職場への不満やストレス、忙しさなどは感じつつも、2017年をそれなりに良い1年だったと捉えている薬剤師が多いということを示しているといえます。
2018年、さらに良い1年にするためには、これまでに言ってもらった嬉しかった言葉を糧にしつつ、2017年中にできなかったことに改めて挑戦してみると良いのかもしれません。