薬剤師の労務管理【第3回】雇用契約について – 薬プレッソ

薬剤師の労務管理【第3回】雇用契約について

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薬剤師にとって、労務管理で認められる権利を知ることは自分を守ることに繋がります。本シリーズでは、薬剤師が知っておくべき労務管理のあれこれについて、社会保険労務士の長友先生から講義形式でお伝えいたします。 今回は、「雇用契約」についてのお話です。

双方合意の「雇用契約書」で労働条件を明確にする

「雇用契約」とは、働く側がいつからどのように働くのかを双方で約束するものです。労働者と会社の間に、対等な立場で結ばれます。

「雇用契約」は必ずしも書面で交付する必要はなく、口頭でも成り立ちます。例えば、知り合いの薬局の社長さんと「じゃあ来月から御社で働きます。」という約束を交わしたのであれば、雇用契約としては成立します。

しかしながら、口頭でも成立するとはいえ、「雇用契約書」を作成することが望ましいとされています。後々、「言った、言わない」「こうじゃなかった」などの無用なトラブルに陥ることがあるからです。

「雇用契約書」とは、雇用契約の内容を記載したもので、双方が合意のうえ契約したことを証明する書類です。雇用契約は口頭でも成立するため、交付する義務はありません。一方、これに似た「労働条件通知書」は、業務内容や勤務時間、給料に関して記載された書類で、会社から労働者へ必ず交付する義務があります。

口頭で契約自体が成立していたとしても、雇用契約を結ぶ際には「労働条件通知書」だけでなく、「雇用契約書」の作成もお願いすると良いでしょう。

万が一の労働トラブルを防止できます。

「誓約書」の提出について

雇用契約を結ぶ際には、雇用契約書とともに「誓約書」の提出を求められるのが一般的です。

特に薬剤師さんの場合、患者さんの個人情報を適切に取り扱いながら働くことになりますので、「秘密保持誓約書」の提出を求められることでしょう。会社は、患者さんや対外的にそれらの秘密を保持する義務を負いますので、そこで働く人々にも守秘義務を負っていただく必要があります。

そのほか、機械を壊してしまった場合など、すべてが個人の責任になるわけではありませんが、「損害賠償責任」が発生する可能性があります。このような特殊な内容については通常「誓約書」に含まれていますが、誓約書だからといって何でも定めていいわけではありません。もし疑問に思う内容が含まれていたら、専門の方に見てもらうと良いでしょう。

雇用契約を結ぶ以上、薬剤師の皆さまは誠実に会社のために勤務するという雇用義務を負うことになり、会社は皆さまが安心して健康に働けるよう配慮するという義務を負います。雇用契約は、双方が義務を守ることを約束する仕組みなのです。

今回のポイント

・労働者と会社が対等な立場で結ぶ「雇用契約」は口頭でも結ぶことができる

・無用なトラブルを避けるために「雇用契約書」を交わすのが望ましい

・「労働条件通知書」として会社は労働条件を書面で明示する義務がある

・「誓約書」の内容に疑問があれば専門家に相談する

長友社会保険労務士事務所 代表
長友秀樹(ながとも ひでき)
一般企業に就職後、MR、社会保険労務士(社労士)資格を取得。人事コンサルタントとしても活動経験を持つ。MR・人事コンサルタントとしての知見を生かして、自身の事務所を独立開業。医療業界に係わる人事・労務の諸問題の解決を中心に扱っている。
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薬プレッソ編集部

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薬剤師のみなさんが仕事でもプライベートでも、もっと素敵な毎日を送れるような情報を日々発信しています。

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「プレッソ」にはイタリア語で「すぐそばに」という意味もあります。編集部一同、薬剤師のみなさんと伴走しながら、みなさんの「もっといい人生、ちょっといい毎日」のために「ちょっといいメディア」にしていきたいと思っています。

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