これからの薬局や病院に必要とされるのはどんな薬剤師?経験豊富な転職コンサルタントへのインタビュー

薬剤師の資格があれば就職には困らない――もしかしたらそんなイメージをおもちの薬剤師の方もいるかもしれません。しかし、それは本当なのでしょうか?仮に今は本当だと思えるとしても、その状況はこれからも変わらないといえるのでしょうか?
今回は実際に求職者としての薬剤師と接し、採用側のニーズや動向も熟知しているコンサルタントに「薬局・病院側が求める人材ってどんな人?」ということについてインタビューを行いました。
薬剤師の転職市場が近年「買い手市場」に変化してきている?

数年前まで、薬剤師の労働市場は「売り手市場」と言われてきていました。いわゆる薬剤師に対する病院側、薬局側からの需要が大きい状態ですね。
しかしその当時に比べると、薬剤師の市場は「売り手市場」から「買い手市場」へと緩やかに変化してきていると言えるでしょう。
全体的に薬剤師が不足しているという現状に変わりはないのですが、東京などの都心部のエリアにおいては次第に薬剤師の需要も満たされつつある、というのが近年の動向です。薬剤師さんが職場を選べる時代から、病院や薬局が薬剤師を選ぶような傾向になってきています。ですから、薬剤師さん側としても転職先の選び方においては十分な対策をしていく必要があるのです。
薬剤師が転職を考える理由とは?
薬剤師さんが転職を考え始めるのには、少なからずきっかけがあります。職場環境への不満、引越し、転勤などその理由は人によって様々です。
中でも、「できる限り年収を維持したままで職場環境を変えたい」という方が多くいらっしゃいます。薬局や病院というと閉鎖的な環境ですから、そこでの人間関係がうまくいかず、職場を変えたいとご希望される方が多いですね。
また女性の薬剤師の方からは、育児などで一度現場から離れていたが「子供が大きくなってきたので復帰したい」、あるいは「夫の転勤についていくため転職を考えたい」という希望も多くお聞きします。
ブランクのある薬剤師が復職する際に気を付けるべきポイントとは?

実際にブランクを持っている方が復帰していく際に問題になるのが、取り扱う薬の変化だと思います。医学の進歩は目まぐるしく、新薬だと1年でもそれほど変化することはあまりありませんが、ジェネリック医薬品の場合半年ペースで入れ替わることもあります。以前までの名称と薬が違ってしまうことが多いですから、ブランク明けの復職を考えている方にとっては、知識を身につけることが大事になってきます。
― 実際そのような方にはどんなアドバイスをするのですか?
例えば眼科の隣の薬局などをお勧めすることが多いです。内科や循環器科に比べると取り扱う薬もそれほど多くなく、ブランク前から変化する薬もそれほど多くないため、そのような環境でまずは知識を身につけてもらうことをアドバイスしています。
業態ごとに求められる薬剤師の「スキル」とは?
薬剤師さんの職場には大きく分けて、調剤薬局・病院・企業の3種類が存在します。それぞれの職場で求められるスキルはやはり異なってきます。
調剤薬局で求められるスキル
まず、薬局においては「コミュニケーション能力」が大事になってきます。正確な調剤自体は機械や医療事務の方でもできるようになってきましたから、薬剤師さんだからこそできる、患者さんとのやり取りが重要です。「かかりつけ薬剤師」という言葉が昨今出てきていることからも分かるように、実際に患者さんと向き合い、悩みを聞き出し、それに合わせてアドバイスをしたり話を聞いたりしてあげることが、何よりも薬局において求められていることと言えるでしょう。
病院で求められるスキル
病院においても同様にコミュニケーションスキルは重視されます。ただし、薬局とは異なり病院の場合は患者さんとの関わりに加えて、医療の専門家である医師や看護師とのやり取りも多くなってきます。ですから、薬剤師は、薬局に比べてより専門的な知識が求められます。これらの知識をもとに医師や看護師と適切にコミュニケーションをとり、調剤過誤などを引き起こさないようにする努力が必要になってくるのです。
企業で求められるスキル
一方、企業の場合では、基礎研究から実際に薬が世間に出てからの調査まで、企業によって薬剤師さんの力を発揮する分野が様々です。職場によって、求められるスキルは千差万別であるため、その企業で働いた際にどのようなことに携わることができるかは事前に見ておく必要があるでしょう。
希望する転職先で内定を勝ち取る方を見ていても、コミュニケーション能力が高い方は採用されやすい傾向にあると思います。どのようにやり取りをするのか、どう判断するのかが求められる職場ですから、人との接し方が重視されるのも必然的と言えるかもしれません。
コミュニケーションに限らず、採用される方の傾向として、転職の理由と転職後の自分の将来像が合致している、ということが大きいです。自分がどんなスキルアップをしていきたいのか、どのように働きたいのかを明確に考えている方は採用される確率が高いですね。
正社員、派遣、パート…薬剤師の働き方はどう見直す?
どんな環境で働きたいのか、どういうスキルアップをしていきたいのかを考えることは、同時に働き方を考えることでもあります。転職時にご自身のライフスタイルを考えて、「柔軟に働きたい」と働き方を見直される方にも多くお会いします。
組織に属して、その組織とともに自分もスキルアップし、成長したいと考えるなら正社員。将来の独立を考えている、またはライフスタイルを充実させつつ短期で稼ぎたいと思えば派遣。家庭や子供を大切にして同じ職場で働き続けたいと考えるならパート、という選択肢があります。
一般的には派遣が最も時給が高く、派遣が一番収入を得られる働き方であると言えるでしょう。しかしながら、求人側では直接雇用を希望する事例が増えてきています。派遣は雇われる側にとっては時給が高いため魅力的ではありますが、雇う側にとってはコストが高いという一面があります。このため正社員やパートをより採用する傾向になってきています。
とはいえ、薬剤師が売り手市場であるという点に大きな変化はありません。医療業界では、花粉症・風邪・肌荒れなど季節ごとに繁忙期がありますから、そのような時期ごとに「派遣」として募集をかけることがあるのです。ですから、派遣職を探している薬剤師さんは、繁忙期の時期を狙って転職を考えても良いでしょう。
自分のライフスタイルに合った職場を見つけるために

今や薬局の数はコンビニエンスストアの数よりも多いとも言われています。
そのような状況で自分の希望やライフスタイルを含めてピッタリの職場を探し当てるのは非常に難しいと言えるでしょう。
私たち転職コンサルタントは、何百人もの方々の転職を支援させて頂いた実績から得られた、転職に関するノウハウや成功・失敗事例をもとに求職者の方々へ様々なアドバイスをしています。
特に私たちメディウェルのコンサルタントは、単に機械的に求人紹介をするのではなく、実際に薬剤師の皆様がどのように働きたいのか、どのような職場を求めているのかをしっかりお聞きした上で、二人三脚でご希望に合致した職場を見つけていくというスタンスでご支援・ご紹介をしています。
正社員かパートか派遣に関わらず、仕事探しは人生を左右しうる一大事だと私たちは考えています。だからこそ、薬剤師の方々のお一人お一人としっかりと向き合って「納得のいくキャリア」の実現に向けたコンサルティングをしています。
ただ、私たちも転職したい皆様にアドバイスをし、転職の成功を後押ししますが、やはりご自身の「こう働きたい、このようなところに転職したい」という思いが大切です。薬剤師は国家資格保有者であり、売り手市場だから大丈夫だと慢心していては、安易な転職活動は上手くいかない時代へと変化しつつあるのが現状です。
今後薬剤師としてどう働いていくべきかお悩みの方は、一度私たちにご相談を頂ければと思います。ご一緒にお話しさせていただく中で「やっぱりこういう働き方がしたい」といったことが見えてくることもあるかと存じます。大切な仕事探しで納得のいく選択を実現していただけるよう、全力でご支援させていただきます。