薬剤師が理解しておきたい2種類の「扶養」とは?―薬剤師の「扶養」を考える(前編)

「出産・育児・介護などの事情で正社員では働くことは難しい。
でもせっかく取得した国家資格である「薬剤師」を活かして、扶養内で働くことを考えている」
そのような方のために、「薬剤師」×「扶養」というテーマで前後編に分けてコラムをお届けします。

前編では2種類の扶養制度とその内容、後編では扶養を外れることのメリットとデメリットについて紹介します。
収入が高くなりやすい薬剤師が扶養内で働くにはどうすればいいのか。そもそも、扶養内で働く必要はあるのか?

そんな薬剤師の「扶養」について考える内容となっておりますので、気になる方はぜひ最後までご覧ください。

2種類の「扶養」を正確に理解する

扶養、扶養と一口で語られがちですが、実は「扶養」には税制上のものと社会保険上のものの2種類が存在します。
以下に、それぞれどういった内容なのかを解説していきます。

税制上の「扶養」

所得税や住民税などの税金に関する扶養が税制上の「扶養」です。
被扶養者(配偶者)の所得が一定以下の場合、扶養者が支払う所得税や住民税が「配偶者控除」「特別配偶者控除」として一部控除される制度です。

例えば、夫がフルタイムで勤務する正社員で妻が短時間のパートという場合、妻が夫の扶養に入ることで、夫が納める税金の一部が控除されます。
この制度により、世帯として支払う税金の額を減らすことができます。

扶養者(例の場合は夫)が年末調整で「平成〇年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に配偶者の情報を記載することで、税制上の「扶養」が適用されます。

社会保険上の「扶養」

健康保険や年金に関する扶養が社会保険上の「扶養」です。
夫か妻のどちらかが一定の収入以下である場合、被扶養者(前述の例の場合は妻)の健康保険料や厚生年金保険料が免除される制度です。

こちらの「扶養」では、扶養者が負担する金額は変わりませんが、被扶養者が負担する金額が変わります。

被扶養者は扶養者と同じように保険診療が受けられるほか、厚生年金についても加入しているという扱いになるため、老後に年金を受給することも可能です。

扶養者が会社で申請・手続きをすることで適用されますので、社会保険上の扶養に入りたい場合は配偶者に申請をしてもらいましょう。

「税制上の扶養」において気をつけたい「壁」とは

扶養について、「103万円までは大丈夫」といった「〇〇万円の壁」について耳にしたことがある方もいらっしゃるかと思います。
その壁が一体どういうものなのか説明していきます。

100万円:被扶養者に住民税が発生

扶養制度と直接関係はありませんが、年収が100万円未満の場合は、本人の住民税が免除されます。
壁となる金額としては有名なのは所得税が発生する「103万円の壁」が有名ですが、住民税は控除の計算方法が所得税とは異なるため、100万円を超えると住民税の支払いが発生します。

税金の負担を減らしたい場合は、この「100万円の壁」の存在も頭に入れておくと良いでしょう。

103万円:被扶養者に所得税が発生/配偶者控除が適用される上限

収入が103万円を超えると、所得税が発生します。
所得税は給与所得控除と基礎控除という2つの控除があり、この2つの控除の合計金額は103万円です。そのため、収入が103万円未満の場合は所得税は発生せず、超えると発生するということになります。

また、103万円は「配偶者控除」が適用される上限金額でもあります。
後述の「配偶者特別控除」制度の拡大により103万円未満にこだわる必要はなくなりましたが、「配偶者控除」が適用されれば、扶養者は38万円の配偶者控除を受けることができます。

150万円:配偶者特別控除の満額が受けられる収入の上限

「配偶者控除」の範囲を拡大させた「配偶者特別控除」では、被扶養者の収入が150万円未満の場合、扶養者は満額である38万円の控除を受けることができます。
収入がこれ以上増えると受けられる控除額が段階的に減っていき、201万円を超えると控除額が0になります。

201万円:配偶者特別控除が受けられる収入の上限

収入が201万円を超えると控除が全く受けられなくなります。
200万円までは控除を受けることができますが、197万円を超えた場合控除額は3万円と少額ですので、あえてこの壁にこだわる必要はないかもしれません。

「社会保険上の扶養」において気をつけたい「壁」のこと

扶養の壁は社会保険上の扶養にも存在します。
以下にその金額と、その金額を超えるとどうなるのかを解説していきます。

106万円:会社の社会保険が適用になる可能性が発生

社会保険制度の改正により、月収8万8千円を超える労働者はパートでも社会保険の加入義務が発生する場合があります。
この「月収8万8千円」は年収に換算すると約106万円となるため、年収が106万円超えると、被扶養者となれず会社の社会保険に加入しなければならない可能性があります。

ただし、所定労働時間が週20時間未満の場合など、社会保険が適用とならないケースもあります。
また、会社独自の条件が規定されている場合もあるため、扶養に入りたい方で年収が106万円に届きそうな場合、自分が社会保険適用の対象であるか会社に確認する必要があります。

130万円:社会保険上の扶養に入れる収入の上限

社会保険上の扶養に入れるのは年収130万円までです。
年収が130万円を超えると扶養から外れ、個人で社会保険に加入する必要があります。

「扶養の壁」まとめ

扶養の壁について、表でまとめると以下のようになります。

扶養には多くのメリットがありますが、メリットを全て享受するためには、年収を100万円まで抑えなければなりません。
詳しくは次回の後編でご紹介しますが、収入が平均より高い薬剤師にとって、この壁を超えるか超えないかは慎重な判断が必要になってくるでしょう。

後編では上記のほかに、扶養を外れる場合のメリット・デメリットについても解説していきます。
後編もぜひご覧ください。

<参考資料>
「配偶者控除」国税庁
「配偶者特別控除」国税庁
「配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか」国税庁
「平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています」厚生労働省

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