「くすり」を学べる施設シリーズ第3回 漢方がぐっと身近になる!見て、聞いて、食べて学べる「ニホンドウ漢方ミュージアム」

薬剤師ってどんな仕事をしてるの?そんな質問をされたことはありませんか?そもそも「薬」に対する理解は、専門的に学んだ人とそうでない人でおそらく大きく異なるものでしょう。
このシリーズでは、家族や友人、大切な人、誰でも楽しく薬について学べる施設を紹介していきます。
「薬ってすごいんだぞ!」を、自分の身近な人に知ってもらえる機会として、また自分自身もあらためて学べるような施設をまとめました。

第3回目となる今回、薬プレッソ編集部が訪れたのは東京・港区にある「ニホンドウ漢方ミュージアム」。
様々な角度から漢方を体感できる、世界初の漢方ライフスタイル提案型複合ショップです。
漢方には興味はあるけど、あまり触れる機会がないという薬剤師さんも多いかもしれません。

かくいう編集部も、漢方について全く詳しくなく…。
こんな自分たちでも楽しめるのかな?と不安でしたが、いざ行ってみると、漢方をすぐ身近に感じることができ、楽しんでいるうちにあっという間に取材時間が終わってしまいました。
全く知識のない人が訪ねても、充分に楽しめて勉強になるニホンドウ漢方ミュージアム。
一体どんな施設なのか、さっそくご紹介していきたいと思います。

歴史ある企業が運営する、モダンでおしゃれな複合施設

ニホンドウ漢方ミュージアムを運営しているのは、薬日本堂株式会社。今年で創業50周年を迎えるこちらの会社は、ミュージアム以外にも、 漢方専門店や漢方スクールの運営、日本コカ・コーラ社「からだ巡茶」や永谷園「くらしの和漢シリーズ」 の開発協力など、漢方にまつわる幅広い事業展開を行っている会社です。

歴史ある会社による、歴史ある漢方を取り扱うミュージアムということで、少し堅苦しい場所なのかな…と思いながら中に入ってみると、そのイメージは良い意味で裏切られました。

施設内は明るく開放的で、モダンな雰囲気。
おしゃれなディスプレイで、失礼ながら、ここは本当に漢方を取り扱っている場所なのかな…?と疑ってしまうほどでした。

「ニホンドウ漢方ミュージアムは、漢方を五感で体感できる複合施設なんです」

そう案内してくださったのは、薬日本堂株式会社広報の鈴木さん。
このミュージアム内には、漢方を学べる「漢方ギャラリー」と「薬日本堂漢方スクール」、漢方相談やショッピングができる「ニホンドウ漢方ブティック」、「薬膳レストラン10ZEN」の4つの施設が入っているそうです。

スクールからレストランまであるなんて、丸一日ここで過ごすこともできそうですね…!
施設一つ一つを丁寧に案内していただきましたので、順番にご紹介していきたいと思います!

「漢方ギャラリー」で、意外と身近な漢方の考え方を知る

まず案内されたのが、漢方ギャラリー。
ここでは、パネル展示を通して漢方の考え方を学ぶことができます。

「漢方は中国の伝統医学を元にした、日本独自の医療体系なのですが、ご存知でしたか?薬のイメージが強いのですが、実は、薬膳、ツボ、鍼灸といった日々健康に過ごすための知恵の集合体です。ここでは漢方の成り立ちから、理論、生活に取り入れる方法までご紹介しています。」


▲五行説の図。外側の矢印が育てる力、内側の矢印が抑制の力を表す。

「漢方を含めた東洋医学の特徴は、自然観察をベースにしていることと、身体全体のバランスを見ていくことにあります。

漢方のベースの理論である五行説は、“木・火・土・金・水”という5つ自然のモチーフで説明されます。木は火を生み、火は水によって消されるというように、自然界には力関係のルールがあり、それぞれがバランスをとって存在しているという考え方が五行説です。漢方ではこのモチーフに自然界のあらゆるもの、人の臓腑や感情まで分類して、ルールに沿って関係性とバランスを見ていきます。」

五行説など、一見馴染みがないようにも感じますが…。

「事例で考えるとけっこう納得がいくことがあるんですよ。例えば春に起こりがちなイライラやストレスと胃痛の関係。」

「『木』に属する季節の春は草木が芽吹くのと同じように、人もパワーにあふれ、やる気がみなぎりますが、過剰になりすぎてイライラしたという経験はありませんか?このイライラは『木』に属する感情です。」

▲五臓の図。内臓も分類される

「イライラはストレスになり、やがて胃の痛みが現れることがあります。胃(脾)の属するのは『土』。五行の図で力関係を見てみると、『木』は『土』を抑制するとあり、つまりこの不調は、『木』が過剰になりすぎて『土』を必要以上に抑制したことによって起こっていると考えることができます。」

五行を理解すると、不調の原因を探り、適切なケアをすることができるようになるんですよ。」

なるほど、面白い…!
最初に見たときは正直ピンとこなかったのですが、自分の体調と照らし合わせてみると当てはまる部分も多く、漢方の考え方はこんなに身近だったんだなと驚かされました。

この記事をご覧になられている読者の方にも、ぜひ漢方ギャラリーへ足を運び、自身の体調と照らし合わせながらご覧になってみていただきたいです。

他にも注目なのが、霊芝(レイシ)や大棗(タイソウ)などの生薬の見本が展示されていること!
なかなか見る機会のない薬になる前の状態の生薬が見られたのは、貴重な体験でした。

過去には30人待ちも!?大人気の「薬日本堂漢方スクール」のセミナーを見学!

「薬日本堂漢方スクールには、1回完結型のワンデイセミナーと、続けて通っていただくコースの2種類があります。
今日はほんの少しですが、人気のセミナーをお見せしますね」

そう案内されたのが、ワンデイセミナーのひとつ、「脈診」行われているという漢方スクールのとある教室。
授業中ということで、静かにそーっと見学させていただこうと思いつつ扉を開けると、意外なことに、中はわいわい賑わっていました!

先生と生徒さんたちが和やかにお話ししつつ、何やら手首に指を当てています。

ここで行われている「脈診」は、脈を測ることで体質や症状を診る、漢方の診断方法の一つ。
このセミナーでは、生徒さん同士で脈をみるなど実践しながら学ぶのだそうです。

講師の中医師、劉(りゅう)先生は人気の先生とのことで、「応募が殺到して30人待ちになったこともある」そうです!
劉先生のセミナーを受講するなら、早めに予約をした方が良さそうですね。

このセミナーは漢方の知識が少しある方向けとのことでしたが、初心者向けに2時間で学べる「はじめての漢方講座」というセミナーも用意されているので、事前知識がなくても安心して学べます。
また、より専門的なコースとして、漢方養成指導士初級~上級までの資格が取得できるコースや、医療従事者も多く受講する「漢方臨床指導士養成講座」などもあるため、薬剤師の方でもしっかり学べるそうですよ。

講師の中には薬日本堂株式会社の漢方相談員を経て講師になった薬剤師さんもいるとのことで、薬剤師の働き方の一つに「スクール講師」という道があるのも、興味深いポイントですね。

「ニホンドウ漢方ブティック」で血流・血圧チェック&漢方相談!


続いて案内されたのが「ニホンドウ漢方ブティック」。
漢方相談ができるブースや、「養生」(心身の健康を保つこと)を日々行っていくための商品が取り揃えられています。

漢方というと漢方薬のイメージしかなかったのですが、商品の中にはレトルトカレーやアロマ、化粧品なども。
こういった日々使うものや口に入れるものにも、簡単に和漢素材を取り入れることができるんですね。

編集部2人が血流・血圧チェックを体験!結果は…?

「こちらの機械で血流・血圧チェックができるんですが、やってみます?」
「え、ぜひ!」


鈴木さんの提案で、編集部2人が血流・血圧チェックを体験。
結果はというと…。

何と、全く真逆の結果に。
編集Aは「スワン型」、編集Bは「乏血型」という結果でした。
スワン型は最も良い正常の型。 一方の乏血型は、血が不足している型で、貧血や肌荒れなどのトラブルが起きやすい状態。
血の巡りの良さを測る「総抵抗」の値も基準値を大きく超えていました。

「私におすすめのお茶って、どれになりますかね…?」

結果が悪かった編集Bは、漢茶のコーナーを見ながら思わずそう質問。
漢方相談員さんからアドバイスをもらいながら、取材のことを半ば忘れ、真剣に個人用の漢茶を選んでいました(笑)。

和漢食材盛りだくさんのお鍋&サラダが食べられる「薬膳レストラン10ZEN(ジュウゼン)」

最後に案内していただいたのは、「薬膳レストラン10ZEN」。

「めちゃくちゃおしゃれですね…!」

思わずそんな第一声が出てしまうほど雰囲気の良いレストランで、ランチをいただきました!

気になるメニューは、スープランチとカレーランチの大きく2種類。クコやくるみなどの和漢素材満載のサラダバーも付けられます。
今回はスープランチの中から、「デトックススープランチ」をいただきました。

体を温め、巡りを良くする和漢食材が盛りだくさんのスープ。
また、スープだけではなく、隣にあるサラダにも滋養強壮に効果的なナッツ、ドライアイに効くクコの実など、体に良い食材がたっぷり。

「スープランチは優しい味わいのものも多いのですが、デトックススープランチは和漢素材の存在感がより感じられる滋味深い味わいなので 、ここに初めて来た方にはおすすめをしております」

そう鈴木さんが言うとおり、お鍋は少し辛めで深い味わい。
でも激辛というほどではなく、むしろこのスパイスの利いた感じがすごく美味しい…!
特にスープは味わい深く、ゴクゴク飲めてしまいます。

何でも、このお鍋は20種類以上のスパイスや和漢食材を煮込んで作っているのだとか。
「中の具材はもちろんですが、こだわりのスープを最後の一滴まで楽しんでくださいね」
との言葉通り、滋味深いスープを楽しめるお鍋となっています。

今回食べられなかったカレーランチの方も、クチコミでとても人気だそう。
特にポークカレーは、赤ワインビネガーを使用しておりなかなか他では食べられない味わいとのことで、次回は個人的に食べに来よう…!と密かに決意しました(笑)。

自分の体質・症状に合ったメニューが選べる

「薬膳レストラン10ZEN」のもう一つの特徴は、自分の体質・体調に合った薬膳料理が食べられるということ。

「チェックリストでご自身の漢方体質タイプをチェックしていただき、そのタイプに合ったメニューを選んでいただけるようにしています」
そうお話ししてくださったのは、10ZENマネージャーの沖倉さん。

「漢方には、体は気・血・水でできているという考え方があります。重要なのがこの状態なんです。
結果の中で気虚(お疲れタイプ)と血虚(かさつきタイプ)、この虚がつく2つが不足しているグループ。そして残りが、滞りのあるグループです。それぞれに合ったメニューをご用意しています。」

なるほど…。
自分のタイプに合った食事を選ぶことが大切なんですね。

「タイプチェックをしてみると、想像と違うことも多いんですよ。
冷えが気になるから血を巡らせるパワーが足りない気虚(お疲れタイプ)だろうと思っていたら、実は血が不足していることで巡らない血虚( かさつきタイプ)のことも。」

巡りが悪いのではなく不足している、そういうケースもあるんですね…!
自分のタイプや体調を正しく理解し、それに合った食材を選び、食する。
シンプルですが、なかなか家で実践するのは難しいこの「食養生」が簡単にできるのが、10ZENの素晴らしいところですね。

漢方の考え方を学ぶことは、薬剤師の業務にも役立つ

最後に、鈴木さんに薬剤師に向けたメッセージをお伺いしました。

「ニホンドウ漢方ミュージアムでは、漢方の基本である「養生」を提案しています。
これは、病気にならず、日々どういう風に健康的に過ごすかということですけれども、これを学べるのが薬剤師の方にとっても魅力だと思っています」

▲漢方の基本は病気にならないよう、日々健康に過ごすこと。

「近年、かかりつけ薬局や、かかりつけ薬剤師といった言葉をよく聞きます。今後は、通常の服薬指導だけではなくて、病気を予防するための生活アドバイスも求められていくと思います。

実際、医療従事者の方で、薬日本堂漢方スクールで学ばれている方も増えていますので、薬剤師の方がいらっしゃっても、充分に勉強になるような施設だと思います。」

鈴木さん、ありがとうございました!


奥深い漢方をわかりやすく学ぶことができるニホンドウ漢方ミュージアム。
薬剤師さんの普段の業務には、漢方はあまり関係ないのかも…?と思っていましたが、訪れてみると、薬剤師だからこそ学ぶべき部分もたくさんあるように感じました。
特に、「病気にならないことが大事」という考え方、日々の養生の仕方などは、仕事でも、普段の生活でも役立ちそうですね。

楽しく美味しく学べるニホンドウ漢方ミュージアムは、時間があっという間に過ぎてしまう素敵な場所。
おすすめの回り方を伺ったところ、「10時くらいから薬日本堂漢方スクールで「はじめての漢方講座」を受けて(要予約)、漢方ギャラリーを見学、薬膳レストラン10ZENでランチを食べて、ニホンドウ漢方ブティックで相談する」とのことですので、興味を持った方はぜひ時間を多めに取って、ゆっくりじっくり漢方の世界に浸ってみてください。

編集部は今後もくすりにまつわる施設の良さをどんどん紹介してまいりますので、ぜひ引き続きご愛読いただければ幸いです!

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