薬剤師に役立つスキル『コーチング(傾聴編)』~患者さんと短期間で信頼関係を築く~ – 薬プレッソ

薬剤師のコミュニケーションスキル|川村和美先生

薬剤師に役立つスキル『コーチング(傾聴編)』~患者さんと短期間で信頼関係を築く~

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薬剤師は、患者さんと短い期間で信頼関係を築かなければなりません。
『コーチング』というコミュニケーションスキルを積極的に取り入れてみましょう。コーチングは、≪患者さんの目標の実現≫をサポートします。コーチングの基本となるのは「傾聴」「質問」「承認」の3つです。今回は「傾聴」について学習します。

患者さんと短期間で信頼関係を築くための「傾聴」とは

「傾聴」とは患者さんの気持ちを理解するための聴き方であり、その重要度はコーチングスキルの約80%を占めると言われています。「傾聴」のスキルを使えば、患者さんとの信頼関係をより良く築いていくことができます。
それでは、コーチングのスキル「傾聴」について5つに分けて説明します。

1つ目は、「先入観・固定観念を排除すること」です。
過去にどんなことがあっても、まっさらな気持ちで患者さんのメッセージを正しく受け取ることが重要です。
私たちは、過去に嫌な印象を持った患者さんにネガティブな感情を抱いてしまいがちです。けれども、「前回クレームを言ってきた人だ」のようにマイナスイメージを抱えたままでは、患者さんのその日の気持ちや表情が見えなくなってしまいます。患者さんのことを正しく理解するために、自分のネガティブな感情を取り払いましょう。

2つ目は、「最後まで聴くこと」です。
患者さんの話を途中で遮らずに、言い分を最後まで聴くことが重要です。
例えば、患者さんがお困りの理由が不明確なまま説明をしてしまうと、問題点の捉え方を間違えたり不適切な注意をしたりするかもしれません。理由を知るためにも、患者さんの話を十分に最後まで聴きましょう。

3つ目は、「うなずくこと・あいづちを打つこと」です。
患者さんの話し方に合わせた深さでうなずき、同じくらいの回数であいづちを打つことが重要です。そうすることで、患者さんは心地よく話すことができるでしょう。

4つ目は、「共感すること」です。
患者さんの置かれている状況や気持ちをそのまま受け止め、理解しようと努める「共感」が重要です。
「共感」とは、“かわいそう”などと感じる「同情」、“私もそう思う”などと感じる「同感」という自分の感情とは全く異なります。もし自分の感情が患者さんと異なってしまうと、失礼な気持ちの押し付けになってしまうかもしれません。私たちは自分の感情を入れないように、共感することを心がけていきましょう。

5つ目は、「ページングを使うこと」です。
話し方、表情、気持ちなどを患者さんに合わせ、気持ちに寄り添うことを「ページング」と言います。患者さんとのコミュニケーションを図る上で特に重要です。
例えば、大きな声の方にははっきりと明瞭に。小さな声の方には周囲に聞こえないように配慮して。うれしそうな方には笑顔で。患者さんに合わせることで、お互いに親近感がうまれます。そして、患者さんは安心して話してくれるようになるでしょう。

いかがでしたか?傾聴のスキルについてお話しました。
ポイントは、「先入観・固定観念を排除すること」「最後まで聴くこと」「うなずくこと・あいづちを打つこと」「共感すること」「ページングを使うこと」と五つあります。薬剤師として患者さんの気持ちを理解し、できるだけ早く信頼関係を築いていきましょう。

今回のまとめのポイント

・先入観・固定観念を捨て、まっさらな気持ちで患者さんと向き合うこと
・話を途中で遮らず、時にはうなずきあいづちを打ちながら最後まで聴くこと
・共感することを心がけ、ページングを使って患者さんが話しやすい雰囲気を作ること

経営倫理士/インストラクショナルデザイナー
ウィズサポ代表
川村 和美(かわむら かずみ):名城大学薬学部薬学科、同大薬学研究科博士号取得。薬局勤務を経て2009年に経営倫理士資格を取得。薬剤師の「倫理」の観点から薬剤師教育に尽力。日本薬学会、日本医療薬学会の代議員としても活動。執筆歴としては『薬剤師とくすりと倫理』執筆『そこが知りたい,緩和ケアにおける服薬指導』の『緩和ケア』編執筆など多数。
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薬プレッソ編集部

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