【第六回】調剤過誤と行政責任 - 薬剤師が知っておくべき調剤過誤にかかる法的知識 – 薬プレッソ

薬剤師の法律のイロハ|赤羽根弁護士

【第六回】調剤過誤と行政責任 - 薬剤師が知っておくべき調剤過誤にかかる法的知識

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薬剤師にとって、日頃の業務と法律は深く関わっています。本シリーズでは、薬剤師が知っておくべき法律のイロハについて、赤羽根弁護士から講義形式でお伝えいたします。動画は5分程度ですが、講義内容を文章で閲覧されたい方は、こちらの記事で内容をご確認ください。

行政責任が問われる場合

では、次に調剤過誤にかかる2つ目の責任“行政責任”ついてお話ししていきます。

行政責任というものは、監督官庁である厚生労働大臣による「戒告」、「3年以内の業務の停止」、「免許の取り消し」という処分を受ける責任です。あくまで薬剤師の免許に対して、また薬剤師としての地位に対して課される責任と考えていいかと思います。「薬剤師免許、なくなるんですか?」という質問もありますが、調剤過誤をしたときに、行政責任が問われるというのは、「罰金以上の刑に処せられた場合」と「薬事に関し犯罪、不正があったとき」の2つです。薬剤師としての品位を損するような行為があった場合に薬剤師の免許が停止されたり、取り消されたりする可能性があるということです。

では、全ての調剤過誤で処分をされるのかというと、実際上の運用では、「刑事責任に問われて、罰金以上の刑になる」といった場合には、それに付随して行政責任も問われることが一般的には多いと考えていいと思います。ですから、すべての過誤で必ず行政責任が問われるわけではないということを理解しておく必要があります。

実際、過去に調剤過誤で行政責任に問われた例というと、刑事責任のところでお話しした「ウブレチド事件」は、禁固1年、執行猶予3年という判決を受けて、行政責任は「業務停止1年間」という処分を受けています。ジゴシンやワーファリンで50万円の罰金刑になったという例は、「業務停止6ケ月」という処分を受けています。ですから、行政責任も刑事責任と同じように、非常に重大だと判断されたようなものでなければ、行政責任までには発展しないことが多いと考えていいと思います。ですから、必ずしも過誤があったら免許を失うわけではないことを理解しておく必要があります。

「罰金以上の刑に処せられた」ということは、厳密に言うと、交通違反や交通事故でも罰金以上の刑になることもあるということ。それで薬剤師の免許が停止されることはあまりないと思いますが、理論上はそういったことができ得るということです。薬剤師という職業は、通常の生活の部分でも薬剤師免許に影響が出る可能性があるので、日々そういったことを実は注意しておかなければいけないと言えます。

今回のまとめポイント

・調剤過誤にかかる2つ目の法的責任は、行政責任である。
・すべての過誤で必ず行政責任が問われるわけではなく、刑事責任に問われて罰金以上の刑に処せられた場合である。

赤羽根 秀宜(あかばね ひでのり)
中外合同法律事務所パートナー, 薬事・健康関連グループ代表
弁護士・薬剤師
薬剤師の勤務経験がある弁護士として、薬事・健康・個人情報保護等にかかる問題を多く取り扱う。主な著書に「医薬品・医療機器・健康食品等に関する法律と実務」(日本加除出版株式会社)、「赤羽根先生に聞いてみよう 薬局・薬剤師のためのトラブル相談Q&A47」(株式会社じほう)等がある。
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