薬剤師が職に誇りを感じる瞬間 1位は「患者の相談役になれたとき」 – 薬プレッソ

薬剤師が職に誇りを感じる瞬間 1位は「患者の相談役になれたとき」

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仕事をしていて、ふと、自分の仕事に誇らしさを感じる瞬間ってありますよね。それってどんな時ですか? そして、他の薬剤師さんたちも同じように「薬剤師」という仕事に誇りを感じているのか、いったいそれはどんな時なのか、聞いてみたくはありませんか。
『薬プレッソ』編集部では、「どんな時に“薬剤師としての誇り”を感じる」のか、131名の現役薬剤師の方にアンケートを実施しました。

1位は36%以上を占めた「患者の相談役になれた」。2位以下は「薬に関する専門性の高さ」、「医師に意見できた」、「正しい処方ができた」、「特になし」、「その他」となっています。

それぞれの詳しい回答を見ていきましょう。

1位「患者の相談役になれた」 36.6%

・患者の方が、医師には聞きにくい質問でも、薬剤師には気軽に質問をすることができると言われることに誇りを感じる(30代男性)

・患者様が笑顔で帰られること。医師に話せないことがかなりあるようで、薬剤師としての自分を頼って頂けたとき(30代男性)

・薬の飲み方がわからない患者さんが、一包化等の工夫をして薬が飲めるようになったとき(30代女性)

・薬について、飲み合わせを聞かれてすぐ答えられたとき。患者に笑顔で帰って貰えたとき(20代女性)

・気軽に、健康相談ができる一番身近な医療人であること(50代男性)

・様々な経験から自身のできる範囲でアドバイスして、患者さんにこの人に相談して良かったと思って頂いたとき(40代女性)

医者や看護師の方はどこか忙しそうで、「不安があるけどこんな質問してもいいものか?」と躊躇してしまう患者さんは少なくありません。そんなとき、薬局で薬剤師から服薬の説明を受ける際に、薬に関して気軽に質問できることは、患者さんにとって大いに助かることでしょう。処方ミスから患者さんを守る「最後の砦」である薬剤師にしかできない大切なお仕事です。

2位「薬に関する専門性の高さ」 20.6%

・薬の構造式、薬物動態等から薬の働きをとらえることができること(50代男性)

・薬の相互作用や動態など 薬の知識や大学で勉強してきた基礎(30代女性)

・ほぼ薬を見ればどんな症状に効くのかわかる(40代女性)

・医師や看護師さんより薬の相互作用や効能に明らかに詳しい(40代女性)

・薬剤を化学物質として捉えることができるとともに、薬物動態学の考え方を基本に薬物治療に貢献できること(40代男性)

・どれだけ効率よく薬を使えるか、不必要な薬を減らせるかを考え処方設計を立て医師とともに患者さんの治療に立ち向かうこと(70代男性)

資格を取るにあたって厳しい国家試験をくぐり抜け、また実際に職を続ける上で薬に関する広く深い知識を身に付けている薬剤師さん。医療従事者の中で「薬の専門家」として働くことへの誇りを感じている方が多いようです。

3位「医師に意見できた」 11.5%

・医師から、薬効等についての質問を指名される(60代男性)

・医者に処方提案や疑義照会をし、より良い投薬内容としたとき(30代女性)

・医師が気付かなかった他院の重複薬や副作用歴を見つけ、疑義照会により処方変更になったとき(40代女性)

・抗がん剤のレジメのチェックにおいて若手医師の処方の間違いが指摘でき、調製を終えた無菌製剤が患者の体内に投与されるとき(50代男性)

・Drに頼ってもらい、アドバイスできたとき(40代男性)

医師への疑義照会時に「誇りを感じる」、という答えが第3位にランクインしました。
疑義照会は、投薬の二重チェック機能として薬剤師が果たすべき重要な役割の一つです。平成28年度の診療報酬改定では、疑義照会の算定対象がより広くなり、それまでの「重複投薬又は相互作用の防止の目的」や「残薬の確認の結果」による照会に加えて「その他薬学的観点から必要と認められる」場合も疑義照会の加算対象となりました。
「薬の専門家」として誇りを感じる場面は、この先、ますます増えていくことでしょう。

4位「正しい処方ができた」 9.9%

・患者さんの生活スタイルから、よりスタイルに合ったアドヒアランスが構築できた時(40代女性)

・患者さんの生活にかかわり、きちんと薬が服用してくれたとき(50代女性)

・毎日ミスなくきちんと処方を調剤していること(40代女性)

・複数薬局で重複して処方されていたり、禁忌などを見つけたとき(50代男性)

・症状に合わせて薬を出したり、作ってあげられるところ(50代女性)

「毒」にもなりうる薬を扱う薬剤師さんだけに、医師の処方をミスなく調剤し、その薬を患者さんが服用してくれることに誇りを感じる方も少なくありません。また、調剤だけでなく、市販薬を含め広く薬のアドバイスをしてあげられることも薬剤師だからできること。

社会的ニーズが高まっている「在宅医療」や「かかりつけ薬剤師」となれば、患者さんの生活を踏まえて投薬をしたり、患者さんの状況に合わせた服薬の管理や指導をする場面も出てきます。ミスなく調剤してくれ、生活習慣からアドバイスまでしてくれる薬剤師に、きっと患者さんも患者さんの家族も感謝をしていることでしょう。国が薬剤師に求めようとしている役割と、薬剤師が感じる誇りが一致していることは患者の側からしても嬉しい限りです。

薬剤師という仕事は、この先、さらに「誇り」を感じるられるものへと変わっていくのかもしれません。

5位「特になし」 9.2%

・誇りを感じたことはない。引け目を感じることの方が多い(30代女性)

・この職業は、誇りではない。チームで連携するので責任をもって行うだけ(40代男性)

・全く誇りを感じていない。資格があれば誰でもできる(40代男性)

・ あまり感じられない、仕事が単純すぎてつまらない(50代女性)

残念ながら、薬剤師をやっていて誇りに思う点は「特にない」と回答されている方もいらっしゃいました。その中には、「つまらない」、「誰でもできる仕事」といったネガティブな意見も。
しかし、調製の機械化や、2025年の超高齢化社会に向けた薬局役割の変化など、薬剤師に求められる役割は大きく変わりつつあります。薬剤師という仕事も「資格があれば誰にでもできる仕事」「薬剤師になれば仕事にあぶれずにすむ職業」ではなくなる日が来るかもしれません。

約80%の薬剤師さんが自分の仕事に誇りを感じている中、「仕事に誇りを感じられない」という状況にあるとしたら、それはとても不幸なこと。もし、そう感じていらっしゃるのであれば、改めて、自分はどのような薬剤師でありたいのか、薬剤師として生き残っていけるのか、問い直してみるよいタイミングなのかもしれません。

こんな意見も…少数意見を紹介

最後に、少数意見もみていきましょう。

・内科、整形、などといった専門科の垣根を超えて、全人的に患者様を見ることができると思う(50代女性)
医師はある専門科で活動されていますが、薬剤師の場合幅広い病気に対応することになり、それは多くの患者を救うことにつながっています。

・汚い仕事をしなくてもいいのは良かった。割と綺麗な仕事。夜勤もない(30代男性)
労働環境は確かに大事です。清潔な環境はモチベーションも上がります。

・医師は利己主義で治療を行っていることが多いが、薬剤師は受け身の仕事なので損得関係なく患者の有益性を重視できる(40代女性)
これは1位の「患者の相談役になれた」という回答とも関連していますが、患者さんのことを第一に考えることができるのは薬剤師の魅力であり誇りですね。

改めてアンケートの結果を振り返ると、「薬の専門家」としての誇りを感じていらっしゃる方が全体の約8割を占めるという結果になりました。高齢化による医療ニーズの変化や、チーム医療の導入に伴い、薬の専門家として調剤業務に加え様々な役割が薬剤師に求められています。「薬剤師としての誇り」を感じる瞬間はさらに増えていくのではないでしょうか。

仕事である以上、大変だったり面倒な場面は少なくありません。それでも、誇りに思うことが増えれば、仕事にやりがいを感じたり、毎日の仕事がもっと楽しくなるはず。ご自身で選ばれた「薬剤師」という仕事が、みなさんにとって誇りを感じるものであれば幸いです。

(文・「薬プレッソ」編集部)
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